
広島大学などの研究グループは、2017年に瀬戸内海東部でイカナゴの漁獲量が急減した原因を明らかにした。海水温の上昇やエサ不足により、イカナゴを捕食する魚との遭遇機会が増えたことが漁獲量の急減につながったという。捕食者の増減が資源量が変動することに影響する可能性が示された。
イカナゴは大阪府や兵庫県といった瀬戸内海東部でよく水揚げされる細長い小型魚だ。3〜4月に稚魚漁が解禁されることから瀬戸内海の「春の訪れを告げる魚」として親しまれ、甘く煮た「くぎ煮」が郷土料理として食されている。

瀬戸内海東部ではイカナゴの漁獲量が減少傾向にある。16年までは年間の漁獲量が1万トン超で推移していたが、17年には前年の約1割まで激減した。現在も低水準が続いている。
瀬戸内海で植物プランクトンのエサとなる栄養塩が減り、イカナゴの産卵量が低下したことが減少の背景にあると指摘されている。ただ、こうした要因は長期的な減少傾向に関わり、突発的に急減した理由は明らかになっていなかった。
研究グループはイカナゴを捕食する魚の増減が、資源量の変動に関わっている可能性に着目した。1〜7月のサワラやブリといったイカナゴを捕食する魚14種の分布を調べたところ、海水温の上昇に伴って16年から個体数が多い状態が続いていた。
イカナゴは春から初夏にかけてプランクトンなどのエサを食べて栄養を蓄えた後、夏の間は砂に潜って冬まで眠る「夏眠」という珍しい習性がある。ただ、栄養不足だと夏眠に入る時期が遅れることが分かった。瀬戸内海ではイカナゴのエサ不足が捕食者との遭遇機会を増やし、17年の稚魚の急減につながった可能性がある。
広島大の冨山毅教授は「環境が改善するまでイカナゴを十分に残せるような資源管理が求められる」と話した。研究成果は国際学術誌「マリン・エンバイロメンタル・リサーチ」に掲載された。
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