
富士通は17日、生成AI(人工知能)を活用してシステム改修を全て自動化すると発表した。既存のソフトウエアの改修作業を前提にしたもので、実証では約100倍の生産性向上を達成した例も出た。まずは医療、行政向けのソフトウエア開発に適用する。システム業界における労働集約型のビジネスモデルからの脱却を急ぐ。
高い日本語能力を備える富士通の生成AI「Takane(タカネ)」や、自律的に作業を進めるAIエージェントを活用するシステム開発のツールを開発した。
富士通は必要な機能をひとまとめにしたソフトを各業界別に提供している。2026年度中にまずは医療、行政向けのソフト開発にツールを適用する。金融や流通など他の業界向けにも順次広げる。
既存ソフトの機能追加や変更といった改修作業を効率化するのに主眼を置いた。医療、行政の両分野は法令改正や制度見直しが毎年のように発生するため、ソフトの改修が継続的に必要となる。開発ツールに改正文書を読み込ませると、必要な機能などをまとめた「要件定義書」や設計図づくり、開発、テストまでを全自動で完了する。
最終工程であるテストの結果に応じた必要な修正作業もAIが自動で担う。エンジニアは出来上がったソフトの確認作業のみを担当する。実証では、従来3カ月かかっていたソフト改修の作業が約4時間で完了した例があった。
国内のシステム業界では深刻な人手不足が続く。IT(情報技術)企業で人員削減の動きが続く米国とは対照的に、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)に応える開発人材の供給が追い付いていないためだ。
システム開発でAIを活用する動きは活発化している。NTTデータグループは26年度中に、開発工程を人ではなく生成AIに合わせて単純にする「AIネーティブ開発」と呼ぶ新技術を導入する。日本IBMは10日、大型システムの開発でAIエージェントを導入すると発表した。
システム開発における生産性向上は、各社にとってもろ刃の剣でもある。システム開発は投入する人員と開発期間を掛け合わせる方式で料金を決める。これまでは多くの人手を集めて、時間をかけて作業するやり方が収益モデルとなっていた。
17日の説明会で登壇した富士通の岡田英人AI戦略・ビジネス開発本部長は、従来型のビジネスモデルについて「なくなるはず」と述べた。さらに「AIが自律的に開発してシステムを継続的に進化させ続けることが大事になる」と続けた。
富士通は従来の「売り切り型」のシステム構築から、継続課金につながるビジネスモデルへの転換を急いでいる。
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