使い捨てカイロ=小林製薬提供
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 使用済みの使い捨てカイロを鉄資源にリサイクルする動きが関西でじんわり広がっている。神戸市では2025年2~5月に実験的にカイロを回収したところ目標の3倍超が集まり、同12月から1年間に拡大して実証実験に取り組んでいる。京都府の自治体はすでに回収してステンレスの原料にする事業を本格化させている。ゴミ減量が主な狙いだが、果たしてカイロは都市の“鉱山”に生まれ変われるのか。

 カイロの中身は半分以上が純度の高い鉄だ。手でもむことで不織布の中の鉄の粉が酸素と化学反応し、ほかほかになる。純度が高いと、より熱が発生しやすくなるという。酸化した鉄から酸素を取り除けば、再び鉄として再利用できる。

「捨てるに忍びない」の声 ゴミ減量へ

神戸市が設置した使い捨てカイロ専用の回収ボックス=神戸市提供
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 神戸市の実証実験はカイロを製造販売する小林製薬(大阪市)から提案された。同社は「廃棄時の環境負荷やそのまま捨てることに抵抗感を感じる方もおり、課題解決を考えていた」と話す。神戸市ではカイロを燃えないゴミとして埋め立てており、資源化が実現すればゴミ減量につながる利点もあった。

 25年2~5月の回収実験では、市の資源回収ステーション「エコノバ」のうち36カ所に専用の回収ボックスを設置した。カイロを使うことが多い高齢者の外出も促そうと、地域福祉センター内にあるエコノバを中心に置いたという。

 回収目標は1トンだったが、3・3トン(6万枚分)が集まり、鉄鋼製品の原料にリサイクルされた。カイロを持ってきた市民へのアンケートでは回収に応じた理由で「(何かに使えそうで)捨てるに忍びなかった」などの声があり、4割近くが通年実施を求めていた。

 小林製薬などによると、カイロは夏場でも冷房対策で使われるようになり、冷凍・冷蔵倉庫などで働く人も使っている。市は実験期間を25年12月から26年11月までの1年間に拡大して再度実施。専用ボックスを置くエコノバは55カ所に増やし、回収量の目標も10トンにした。2月12日時点で2トン集まっているという。

ステンレスに再利用も

京都府宮津市が設置した使い捨てカイロの回収ボックス=宮津市提供
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 カイロ回収を事業化しているのが京都府宮津市と隣の与謝野町だ。25年12月から通年で実施している。

 きっかけは、両市町にまたがって立地している日本冶金工業大江山製造所が宮津市にカイロ回収を提案したことだった。24年12月から~25年3月まで小中学校を中心に専用ボックスを置き、1・7トンを回収。製造所でその半分弱の量の鉄を取りだし、ニッケルとの合金「フェロニッケル」にした。合金を原料にステンレスが作られ、キッチンシンクなどになるという。

鉄とニッケルの合金「フェロニッケル」=日本冶金工業提供
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 市はゴミ減量効果に着目して、通年実施を決定。与謝野町も加わった。回収したカイロは有償で買い取ってもらう。

 同製造所は「採算性よりも、子どもたちにリサイクルに関心をもってもらうとともにゴミの減量にも貢献したいとの思いで始めた」と説明。回収量は24年度の2倍を見込む。ただ、輸送費などを考慮すると、現状より回収地域を広げるのは検討が必要になるという。

 カイロを製造する企業で作る日本カイロ工業会によると24年シーズン(24年6月~25年5月)の国内販売実績は16億5455万枚。使用済みカイロを巡っては、民間団体が水質浄化や土壌改良にリサイクルする取り組みもあるが、まだまだ資源化できる可能性はありそうだ。

 カイロの鉄資源へのリサイクルについて、小林製薬は神戸市での実証事業の結果をみて、事業採算性や回収活動拡大の可否を判断するという。【井上元宏】

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