
【ニューデリー=八木悠介、岡部貴典】生成AI(人工知能)の開発を競う米テック企業のトップらが19日、インドで開催中のAIインパクトサミットに登壇した。米オープンAIのサム・アルトマン最高経営責任者(CEO)や米アンソロピックのダリオ・アモデイCEOがインドをはじめグローバルサウス(新興・途上国)市場への期待を語った。
人口14億人のインドは、医療や農業など生活インフラに課題が多い。米中などで開発が進むAIモデルが課題解決の起爆剤になると期待されている。アルトマン氏はインドでのAI活用の成功事例を積み上げることを念頭に「インドはAIの未来を決定づける役割を担う」と語り、同国の飛躍に期待を込めた。
オープンAIが手掛ける生成AI「Chat(チャット)GPT」はインドに浸透している。同社によると学生ユーザー数は世界最多で、総利用者数は米国に次いで2番目に多い。アルトマン氏は「ソフトウエア開発を支援するコーディングツール『Codex(コーデックス)』にとって最も急速に成長している市場だ」と述べた。
アンソロピックのアモデイCEOは、インドと協力してAI開発やリスク管理に本格的に着手すると表明した。16日に南部ベンガルールに同国初の拠点を開設したことに触れて「アンソロピックのモデルをデジタルインフラや教育、農業、医療分野で活用し、インドを起点にグローバルサウス全体へ恩恵を広げる」と語った。
同社の対話型AI「クロード」の利用者分布では、首位は米国の22%で、インドは次点で5.8%を占める。デジタル人材が豊富なインドを有望市場とみて事業を拡大する。アモデイ氏は「インドは世界最大の民主主義国家」とし、「AI技術のグローバルな安全保障・経済リスクに対処するリーダーになりえる」と指摘した。

米マイクロソフトのブラッド・スミス社長はグローバルサウスでのAI普及を目指し、今後5年程度でデータセンター整備などに500億ドルを投じると表明した。インドは最大の投資国の一つといい、インフラ構築や多言語対応などに充てるという。
AIのリスクについての言及もあった。アルトマン氏はAIが特定企業や特定国家による全体主義的な支配のもとで使われるか、あらゆる人に行き渡る民主的なツールになるかについて「選択を迫られる」と語り、「今後数年で国際社会に試練が訪れる」と警鐘を鳴らした。
アモデイ氏も個人や政府がAIを悪用するといったリスクを念頭に「安全・セキュリティーのリスクに関する試験をインド政府と共同で進めたい」と話した。
米エヌビディアのジェンスン・ファンCEOはサミット直前に欠席を決めた。同社の担当者は出張が続いたことで体調を崩していると説明しているという。マイクロソフト共同創業者のビル・ゲイツ氏も直前に欠席した。
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