
三菱地所と兼松、スカイドライブ(愛知県豊田市)は24日、東京都内で「空飛ぶクルマ」のデモ飛行を実施した。国内で初めて搭乗手続きを想定したターミナルを設置し、チェックインや保安検査、空域監視システムなどの運営を実証する。27年度以降の商業運航に向け、機体とともに「空の駅」となる発着場の整備が加速してきた。
午前9時半ごろ、東京ビッグサイトの屋外駐車場に設けられた発着場からスカイドライブ製の3人乗りの機体が東京湾へ飛び立った。機体上部の12個のプロペラが回転してゆっくりと垂直に上昇。東京湾の水面から13メートルの高さを150メートルほど進んだ後、海上で180度旋回してポートに戻って着陸した。飛行時間は約3分30秒だった。

空飛ぶクルマのデモ飛行は大阪・関西万博での取り組みが先行しており、東京都では24年5月以来1年9カ月ぶり。24年の実証では米社製の1人乗りの機体が上空約10メートルの高さを前後左右に移動した。往復300メートルを飛ぶ周回飛行は今回が初めてだ。実証は遠隔操作による無人飛行で、28日までの5日間、毎日2回ずつ実施する。
実証実験では発着場にトレーラーハウス2基を組み合わせた旅客用ターミナルを設置し、商用運航を想定した一連の搭乗手続きも実証する。事前に募集した100人が参加し、顔認証によるチェックイン、金属探知機による保安検査、搭乗ゲートの通過といった流れや所要時間を確認する。

旅客ターミナルの横には旅客情報や飛行ルートの管理などを行うオーペレーションルームも設けた。発着場や充電ポートの予約・管理システムの運用のほか、周辺の気象情報、ヘリコプターや鳥の飛行状況といった空域情報を監視して運航事業者に伝える役割を担う。
ターミナルは三菱地所が設計や設置を担い、兼松が運用する。兼松が22年から資本業務提携する英スカイポーツ(ロンドン)のチェックインや運用管理システムを導入した。同社は中東や欧州などで発着場の開発・整備を進めており、既に中東・ドバイでは26年の商業運航開始に向けて発着場を建設中だ。
兼松航空宇宙部の中村康平氏は「搭乗や待合の時間を短くしなければ空の移動のメリットは出せない。実証では自動化システムでどの程度の時間短縮ができるのか確かめたい」と話す。

実証に使われたスカイドライブの機体は小型で狭い場所への発着に向く。三菱地所は都心のビルの屋上などに発着場を設置し、空港などと結ぶほか、観光地での整備も進める計画だ。現在は国内外の機体メーカーが安全性を証明する「型式認証」の取得を目指しており、三菱地所は28年ごろに国内で実際の発着場の運用開始を見据える。
東京都は30年に空飛ぶクルマの市街地での商用運航を目指し、27年に一部で始める計画だ。25年10月には日本航空(JAL)と野村不動産が代表を務める団体をそれぞれ事業者として採択した。
JALを中心とする団体は、長距離移動に強みを持つ米新興アーチャー・アビエーションの機体を使う。26年内に大阪府内でデモ飛行を実施した後、型式認証を取得できれば27年にも大阪で乗客を乗せて飛ぶ商用飛行に乗り出す予定だ。
野村不動産を代表とし、ANAホールディングスやスカイドライブなどが参画するグループは、28年度以降に市街地での飛行を目指している。
(佐藤優衣)
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