③ほかの野党のスタンスは?

 一部の野党は参加すら認められず、波紋を呼んでいる。政権は「消費税が社会保障の重要な財源であることを認識している」「給付付き税額控除の実現に賛同している」の2条件を満たす政党にのみ、参加を打診した。参政党や共産党、れいわ新選組などは対象から外した。

 参政党の神谷宗幣代表は「政府の給付付き税額控除がどんなものかも明確でないのに、今の段階で賛成できるわけがない」などと反発。自民の政調幹部は「ただでさえ厳しい日程の中で、前提が違うと議論が前に進まない」という。

④財源は確保できる?

 食料品の税率をゼロにすれば、年5兆円もの税収が減る。これを穴埋めする手立てについて、首相は「特例公債(赤字国債)に頼らない」とし、企業への特例減税「租税特別措置(租特)」や補助金の縮小などで捻出するという。だが、仮に租特を全廃しても3兆円程度にしかならない。

 また、減税開始から2年後に税率を8%に戻す際は「増税」と映るため、「いったん減税すれば、もとに戻すのは難しい」(財務省幹部)との見方が多い。その場合は1回限りの財源ではなく、増税や予算削減などの恒久財源が必要になる。

 昨年、与野党が集ってガソリン税の旧暫定税率を廃止するための財源について検討した際は、どちらも財源案の「言い出しっぺ」になることを避け続け、なかなか議論が進まなかった。

⑤減税すれば、どれくらい家計が助かる?

 財務省によると、年収200万円台の世帯の場合、消費税を年17.5万円払っている。うち5.1万円が軽減税率(8%)の対象となる食料品と新聞にかかる税額だ。仮に食料品の税率がゼロになれば、この分が浮くことになる。

 一方、年収1500万円以上の世帯が負担する軽減税率分の税額は8.3万円で、200万円台世帯の1.6倍だ。物価高に苦しむ低所得世帯に的を絞れず、消費額が大きい高所得者ほど恩恵が大きくなる。

写真・図版
衆院選候補者の演説を聴く有権者ら=2026年1月27日午前10時10分、都内、内田光撮影

⑥減税すると困ることもある?

 政府は2026年度の税収を全体で83.7兆円と見込む。うち3割にあたる26.7兆円が消費税だ。所得税(25.3兆円)や、法人税(20.7兆円)よりも多い。

 消費税は、社会保障を支える財源でもある。そこに穴があけば、医療や介護など公的サービスの持続可能性が揺らぐことになる。減税によって財政への不安が高まれば、国債が売られて金利が急上昇したり、さらなる円安による物価高を招いたりするリスクがある。実際に、首相が消費減税に前向きな姿勢を表明した1月19日以降、金利上昇が進んだ。

 英国では22年、当時のリズ・トラス首相が財源の裏付けが乏しいまま大型減税を打ち出して金利が急騰。英ポンドも歴史的な安値となる「トラス・ショック」を招いた。

 外食業界からは、売り上げが減らないか不安の声が出ている。仮に店内で飲食する場合の税率が10%に据え置かれ、食料品の税率(8%)がゼロになると、弁当や総菜などとの税率差が現状の2%幅から10%幅に拡大するからだ。

 地方自治体の財政にも影響が大きい。消費税の税収は約4割が地方財源だ。「代替財源の議論が何も行われていなくて本当に大丈夫なのか」(大井川和彦・茨城県知事)、「代わりに何を削るのか、どこに負担を求めるのかを先に示さないといけない。それをせずに減税というのは非常に無責任」(村井嘉浩・宮城県知事)などの声があがっている。

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