大阪メトロの駐車場に並ぶEVMJから導入されたEVバス=大阪市で2026年2月12日午前10時2分、岡崎英遠撮影

 大阪・関西万博で来場者を輸送するため大阪メトロが導入した電気自動車(EV)バスが宙に浮いている。閉幕後に路線バスなどで活用する予定だったが、安全性に問題が生じており運行のめどはたっていない。万博後に「脱炭素」の取り組みを加速させるとの狙いは、視界不良の状況が続いている。

 大阪市城東区森之宮にある大阪メトロの駐車場を訪れると、見覚えのあるバスがずらりと並んでいた。ざっと数えただけでも100台以上ある。付近をジョギングしていた60代の男性は「ナンバープレートも外されて、ずっと放置されたまま。この大量のバスはどうなるのだろうか」と首をかしげる。

 大阪メトロは万博に合わせてEVモーターズ・ジャパン(EVMJ・北九州市)から、会場とJR桜島駅などを結ぶ路線で使用する大型バス115台と会場内で使う小型バス35台を調達。昨年10月13日の閉幕後は、大阪市内の路線バスや府南部での自動運転バスの実証実験で活用する予定だった。

 しかし、EVMJのバスが走行中に停止したり、ドアの開閉に不具合が生じたりするなどのトラブルが各地で発生。万博開催中も自動運転のバスが中央分離帯の縁石に接触するなどの事故が相次いだ。

 国土交通省は昨年9月、EVMJに全車両の点検を指示。全317台の3割強で不具合が見つかり、国交省は同10月、EVMJに立ち入り検査を実施した。EVMJは同11月、一部の車種計85台で、ハンドル操作時にブレーキホースが車体に接触してブレーキがききにくくなる恐れがあるとして、国交省にリコールを届け出た。

大阪メトロの駐車場に並ぶ万博使で用されたEVバス=大阪市内で2026年2月12日午前9時55分、岡崎英遠撮影

 国交省の立ち入り検査後、大阪メトロでは万博で使用したバス150台に加え、大阪市内で運行する小型のオンデマンドバス40台を含む計190台の使用を中止。運行の再開は未定だという。万博のレガシーとして南河内地域で予定されていた自動運転バスの実証実験(乗客あり)も6月に延期されている。

 EVMJは中国にある複数の企業に製造を委託していた。大阪メトロはEVMJを選んだ理由について、カーボンニュートラル実現に向けて経産省が支援するグリーンイノベーション基金事業への公募を挙げ、「走行中給電のための車両改造に加え、効率的な給電のためのシステムや自動運転のためのデータを取得できるEVバスが必要で、複数の候補の中からEVMJに決定した」と説明する。

 一方でこれらの車両の一部には国の補助金に上乗せする形で大阪府・市からも補助金が投入されている。大阪メトロは補助金について明らかにしていないが、大阪府・市はEVバス導入助成事業として2022年度、23年度の2年間で1台あたり上限1800万円、計57台に約8億9900万円の補助金を拠出している。このうち大阪メトロがEVMJから購入した車両は26台。残りの31台に上限いっぱいの補助金が出されていたとしても、EVMJの車両には約3億4100万円が助成されていることになる。

 大阪府・市では、EVバス普及による脱炭素の推進を補助の目的としており、担当者は「すみやかに安全確認して早期に運行してもらえるよう働きかけていく」としている。【岡崎英遠】

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