柔らかな触感のシリコーンゴムでできたマグカップ(右奥)やプリンの容器=福岡県太宰府市で2026年1月22日、田後真里撮影

 太宰府天満宮(福岡県太宰府市)の北東に位置する「宝満山(ほうまんざん)」の登山口近くに、小さなカフェがある。人気メニューは地元の卵を使ったプリン。店の運営は、意外にもこのプリンの容器を製造・販売する会社が担っている。

 容器の原料は「シリコーンゴム」。自然界に存在する元素「ケイ素」から作られ、素材の安全性や耐久性の高さに特長があり、医療器具から台所用品まで幅広い分野に普及している。

 福岡県久留米市に本社を置くSING(シング)は、丸ごとシリコーンゴムでできた食器や生活用品を展開。カフェを兼ねたショールームでは、製造工程を見学したり、商品を購入したりできる。

 代表の中野英司さん(60)が2011年に創業した。大好きだった祖父は再生タイヤなどを扱う会社の経営者。中野さんもゴム業界に身を置きながら、次世代につながる挑戦を模索する中でシリコーンゴムに関心を持った。自社工場で製造することで価格を抑え、暮らしに気軽に取り入れてもらおうと考えた。

 オンラインショップで自社製品を販売するほか、全国の企業や自治体と共同で商品開発にも盛んに取り組む。環境負荷が少ない▽腐食しにくい▽形や色を自在に変えられる--といった強みが、デザイン性の高い多様な連携を生み、「人や時期に恵まれ、着実に広がっている手応えがある」と語る。

 カフェのプリンは、食べるだけなら450円、食後に容器を持ち帰れる「カップ付き」は700円で提供している。

 容器はつやのないマットな質感で、柔らかな手触りが温かみを感じさせる。耐熱温度は200度で電子レンジでも使える。「繰り返し使って、良さを感じてもらいたい」

 デザインの担当で、接客も務める社員は「商品を手に取った時のお客さんの驚く表情や、生の声が創作のきっかけになることもある」と笑顔を見せた。【田後真里】

SINGのショールーム

 福岡県太宰府市内山636。タビーマグ(280ミリリットル、3740円)、キーリング(1760円)などを展示販売。カフェSi(シー)ではコーヒーやランチ「太宰府の梅グラタン」(1000円)も提供。水曜定休。SING(092・555・2338)。

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