
クラウドコンピューティング分野における競争を不当に妨げた疑いで、公正取引委員会が米マイクロソフトの日本法人を立ち入り検査した。クラウド市場で寡占傾向が強まるなか、実効性がある競争促進策を機敏に実行してほしい。
同社はネットワーク経由で計算能力を提供するクラウドの基盤サービスで大手の一角を占めている。一方、サーバー向け基本ソフト(OS)などで高いシェアを握り、他社の基盤サービスでこうした製品を使いづらくした疑いが持たれている。
マイクロソフト日本法人は「公取委の要請に全面的に協力していく」とコメントした。
検査の背景にあるのはクラウド市場の拡大だ。米調査会社によると、世界のクラウド市場は年率20%超の成長が続き、2025年には65兆円規模まで膨らんだ。一方で寡占も進み、アマゾン・ドット・コム、グーグルを含む米大手3社のシェアは計63%に達した。
米3社は利便性や価格競争力が高いサービスを提供して利用企業を増やす一方、データを他社の基盤サービスに移す際に割高な手数料を課すといった問題も指摘されてきた。各社は事業内容を改めて点検し、不当な顧客の囲い込みがあればやめるべきだ。
今回の問題は欧州で3年以上前から指摘を受けており、海外の動きを後追いした形といえる。競争により価格下落などが見込める一方、市場の勢力図がひとたび固まると、シェアの変動が起きにくくなることにも注意すべきだ。
こうした事態を防ぐためには、競争当局が早期に効果的に介入することが欠かせない。当局はデジタル分野の知見を持つ人材を強化し、急速に進化する人工知能(AI)などの領域で監視を強める必要がある。
米巨大IT企業は渉外部門に多くの専門家を抱え、ロビー活動費も増やして交渉力を高めている。各国の当局が単独で対抗するには限界があり、問題意識を共有しながら連携を深めることが重要だ。
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