ホルムズ海峡が封鎖状態となり、ドバイ沖に停泊する船舶(2日)=ゲッティ共同

世界経済の悪夢が現実となるのか。米国とイスラエルによる攻撃への報復として、イランがエネルギー輸送の大動脈であるホルムズ海峡を封鎖すると表明した。

イランの報復攻撃は湾岸地域のエネルギー施設にも広がっており、原油や液化天然ガス(LNG)の供給不安が浮上している。それらの調達の多くを中東に依存する日本は、エネルギー安全保障の確保に万全を期す必要がある。

イランの革命防衛隊は国営メディアを通じ、ホルムズ海峡を封鎖し、通過する船舶を攻撃・炎上させると警告した。すでに複数のタンカーが攻撃されており、航行は困難となっている。

イランとアラビア半島の間にある同海峡は世界で取引される石油やLNGのそれぞれ2割が通る要衝だ。封鎖の懸念は過去にもたびたび浮上したが、イラン自身の原油輸出も不可能となるため、実行されたことはなかった。

イランはサウジアラビアの製油所、カタールのLNG基地など近隣国の施設にも無人機攻撃をしかけている。被害が深刻なら、供給力の回復に時間がかかる恐れがある。中東情勢の緊迫化を受け、原油やLNGの価格は急騰した。

日本は原油輸入の9割超、LNGは1割程度を中東に依存し、大半がホルムズ海峡を通過する。封鎖が長引いたり、生産設備の被害が拡大したりすれば、エネルギー安保に2つの懸念が生じる。

ひとつはさらなる価格高騰だ。世界に共通するリスクだが、円安でただでさえ調達コストが上がっている日本には大きな重荷になる。いずれ石油製品や電力、都市ガスの価格上昇圧力となる。

もうひとつは供給自体の途絶である。かつての石油危機を教訓に原油は国内消費量の約250日分の備蓄があり、ただちにリスクが顕在化するわけではない。一方、極低温で貯蔵が難しいLNGは国内在庫が3週間分にとどまる。

政府やエネルギー企業は、中東以外からの代替調達を探りつつ、備蓄の機動的な放出など、価格と量の両面で安定供給の維持に最善を尽くしてもらいたい。国際エネルギー機関(IEA)を通じた消費国間の連携も図るべきだ。

日本に近いロシア極東の天然ガス開発事業「サハリン2」からのLNG輸入は、6月まで米国による制裁の例外措置が適用されている。延長に向けた交渉を加速させる必要があろう。

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