
西松屋チェーンは20日、台湾南西部の台南市にある商業施設で台湾1号店を開業した。2012年に韓国へ進出し、1年で撤退して以来の海外店舗になる。当時の教訓を踏まえ、専門人材が日本と同じような店作りができる大型店を中心に出店を目指す。台湾事業は5年で20店舗、売上高40億円を計画する。
ビジネスTODAY ビジネスに関するその日に起きた重要ニュースを、その日のうちに深掘りします。過去の記事や「フォロー」はこちら。西松屋の大村浩一社長は同日、三井不動産の「三井アウトレットパーク台南」に入居した1号店の開業式に出席し「台湾の子育てに貢献できるよう、誠心誠意取り組む」と語った。併せてこれまで5年で15店舗、売上高35億円以上としていた台湾事業の計画を上方修正した。
西松屋は25年に台北市に現地法人を設立し、立地や商品の選定、内装や陳列の設計などの準備を進めてきた。大村氏は「韓国進出時とは社内の海外人材の厚みが違う」と強調する。2〜3年前から商社出身でアジア圏の法人代表を務めた人材らを採用しているほか、新卒では海外志向の強い学生を積極的に採用してきた。
1号店は120坪(約400平方メートル)ほどの小型店だが、2号店以降は日本と同水準の300坪程度の大型店を増やす考え。アパレルから雑貨まで幅広い商品をそろえたり、子供から大人まで利用できる「全世代対応」型商品の投入を検討したりして、台湾の消費者に「西松屋」ブランドを訴求する。
将来は複数の国・地域に進出を目指す。13年前の「韓国での挫折」を乗り越え、台湾の店舗を軌道に乗せられるかは、子供服などの日本事業が少子化の影響を受ける西松屋の成長の鍵を握る。

韓国事業の失敗は、竹島問題を巡って当時の日韓関係が冷え込んだ影響も大きかった。
不買運動は起きなかったもようだが、韓国の世論を考慮して広告は自粛せざるを得なかった。他のテナントとの兼ね合いで取り扱えない商品がある施設に出店するなど、経験不足も露呈。採算が合わず1年で手を引いた。
台湾は親日で知られる。西松屋は19年ごろから、海外の同業他社や商社にプライベートブランド(PB)商品を卸売りして身につけたマーケティング力などをテコに、現地市場を開拓する。インターネット広告も出稿する。
直近の13年間で経営体力はついた。韓国出店時の13年2月期の単独決算は売上高1225億円、税引き利益36億円。25年2月期は売上高1859億円、税引き利益81億円と、売上高は1.5倍、税引き利益は2.2倍になった。店舗を3割超増やし、PB商品の開発ノウハウを蓄積した。

課題は円安だ。中国やベトナムなどの工場でつくられた商品を輸入する西松屋は、円安が進むとコストが増えて利益が目減りする。大村氏は「日本だけ伸ばすのはカントリーリスク」と危機感を口にする。
厚生労働省が2月に公表した人口動態統計(速報値)によると、日本で25年に生まれた子供(外国人を含む)は前年比2.1%減の70万5809人。10年連続で過去最少を更新した。西松屋は国内の新規出店を続ける方針だが、手つかずの海外の方が成長の余地は大きい。台湾の次の国・地域は東アジアを中心に検討する。
(大沢友菜)
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