SPP長崎エンジニアリングは航空機の脚部の整備を手がけている(長崎県諫早市)

住友精密工業グループで、航空機脚部の整備を手がけるSPP長崎エンジニアリング(長崎県諫早市)は本社工場を拡張した。部品の分解・組み立て用のエリアを広げ、修理能力を2.5倍にした。同社は民間機と防衛省機双方の脚部の部品修理を手がける国内唯一の会社で、官民の需要増に対応する。設備や空調を含めた総投資額は15億円。

SPP長崎エンジニアリングは2014年の設立。防衛省向けの航空機脚部を製造している住友精密工業が、ANAホールディングス(HD)から航空機脚部整備事業を買収して新会社として発足した。部品の分解から洗浄や検査、修理、塗装、組み立てまで手がけている。従業員は4月に10人増えて140人となる予定だ。

工場の増設は25年2月に着手し12月に終えた。鉄骨2階建ての工場の延べ床面積を2割広げ、受注拡大のボトルネックだったという部品の分解・組み立て用のエリアの広さを2倍にした。塗装やメッキ処理などの工程に用いる設備も導入した。

SPP長崎エンジニアリングの清水社長は工場拡張で防衛と民間の「両方の需要に備える」と話す(長崎県諫早市)

SPP長崎エンジニアリングの清水太朗社長は「防衛と民間、どちらのマーケットも順調に育っており、両方の需要に備える」と話す。26年3月期の売上高は、具体的な金額は非公表だが前期比2割増となる見込みだという。

SPP長崎エンジニアリングが拡張した工場の外観(長崎県諫早市)

防衛費の増額が続くほか、新型コロナウイルス禍を経た航空機産業は、旅客需要回復で「年率3~4%の成長が今後5年、10年以上期待できる」(住友精密の航空宇宙事業第一部門の大西正之氏)。東アジア圏では競合となる脚部修理会社が限られているといい、新たに海外の航空会社からの受注も目指す方針だ。

長崎県には航空機の部品を生産するウラノ(埼玉県上里町)などが拠点を置き、県は18年に「航空機産業クラスター協議会」を立ち上げた。2月にはアジア最大の航空展示会「シンガポールエアショー」に参加し、SPP長崎エンジニアリングも海外からの受注をにらみ出展した。

同社は今回の工場拡張に合わせ、県の補助金を用いて空調も導入して工場全体をカバーできるようにした。周辺にはソニー系や三菱重工業が工場を置く環境で、採用の競争力向上にもつなげたい考えだ。

(藤井太郎)

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