
三菱マテリアルは25日、同社が持つ2カ所の銅製錬所のうちの一つ、小名浜製錬所(福島県いわき市)で銅鉱石や廃電子基板由来の銅生産を停止すると発表した。中国で銅製錬所が増えた影響で銅原料が奪い合いになり、製錬各社で得られる利益が低迷するなかで停止を決めた。
2027年3月末をめどに、銅鉱石を処理した銅精鉱や銅を含む廃電子基板を使った中間原料である粗銅の生産設備を止める。廃電子基板は小名浜製錬所での受け入れを止め、同社のもう一つの拠点である直島製錬所(香川県直島町)に振り替える。
銅精鉱や廃電子基板に含まれる金や銀も生産していたが、粗銅生産と合わせて停止するとみられる。
小名浜製錬所の「電解工場」は操業を続ける。電解は純度99%の粗銅を99.99%の「電気銅」にする工程で使う。小名浜製錬所では廃電子基板よりも純度の高いスクラップである銅管などから粗銅をつくる作業は続けるため、電解工場も必要になる。直島製錬所から持ち込む粗銅にも対応する。
白金やパラジウムのリサイクルや精製を行う工場や銅インゴットをつくる鋳造工場なども稼働を続ける。
一連の停止に伴い26年3月期に210億円の減損損失を計上する。2月に公表した通期業績予想には織り込み済みという。
従来小名浜製錬所は直島製錬所と並んで年間20万トンの生産能力を持っており、国内でも有数の規模の製錬所だった。25年度の後半から生産量を削減し始めていた。
小名浜製錬所では「反射炉」と呼ぶ、運用コストや二酸化炭素(CO2)排出の多い炉を使っている。「直島製錬所の方がコストが安い」(三菱マテリアルの田中徹也社長)状況だった。コストがかさむ設備の操業を止めることで業績改善につなげる。
小名浜製錬所は1965年に創業した。複数の銅関連企業が共同出資して経営してきたが、23年に最後まで出資していたDOWAホールディングスと古河機械金属が出資を引き上げ、三菱マテリアルの単独運営になっていた。
鉱石由来の銅製造では、中国で銅の製錬所が増えたため国内製錬会社が鉱石を調達する際の条件が悪化し、採算が低迷している。JX金属も銅の生産規模を縮小する方針だ。
三菱マテリアルは銅事業の効率化に向けて複数の手を打ってきた。自社の原料調達や販売部門をJX金属や三井金属、丸紅が出資する銅の原料調達・販売会社パンパシフィック・カッパー(PPC)に統合して効率化する。
田中社長は「廃電子基板であれば銅精鉱からつくるより利益率が数倍良い」と話しており、海外ではリサイクル事業を拡大する方針だ。欧州に廃電子基板のみから銅をつくる製錬所を建てるほか、米国でも既に出資している英社とともに同様のリサイクル原料のみを扱う製錬所を新設する。
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