長崎大学病院の江口晋診療科長が臨床研究について説明した(6日、長崎市)=同大提供

長崎大学や東京医科大学の研究チームは6日、患者の細胞を使って肝臓を再生させる臨床研究を始めたと発表した。患者の細胞を薬物を使って肝臓や胆管の細胞に分化する「前駆細胞」に変化させる技術を活用し、肝硬変などの進行性の肝疾患の治療を目指す。

肝硬変は肝臓が線維化し、徐々に肝臓の機能が低下していく進行性の病気だ。現状は肝臓を移植するしか根本的な治療方法がない。ただ肝臓の臓器提供者(ドナー)が不足しているため国内では年間2000人近くが移植手術を受けられず亡くなっているとされる。

研究チームは患者から採取した肝細胞に3種類の薬剤を加えて培養することによって、肝臓細胞や胆管細胞に分化する前駆細胞に変化させた。この前駆細胞は「CLiP(クリップ)細胞」と呼ばれ、様々な細胞に分化するiPS細胞と異なり、遺伝子の改変などを必要としない。また患者自身の細胞を使用するため拒絶反応が起きる可能性も低いとされる。

今回の臨床研究では肝硬変の患者3人に、クリップ細胞を移植して安全性などを評価する。まず患者から肝組織30グラムを採取し、約90日間かけて培養してクリップ細胞を作製する。その後、作製したクリップ細胞を線維化が進んだ肝臓に移植して、1年程度、経過観察する。

同日記者会見した長崎大学病院の江口晋・診療科長は「この治療方法があればたくさんの患者を治療できる」と臨床研究の意義を強調した。順調に進めば5〜10年後に実用化できる可能性があるという。

今回の臨床研究は再生医療等安全性確保法の分類で、もっともリスクが高い「第一種」に分類される。厚生労働省の再生医療等評価部会での審議を経て厚労省から臨床研究計画の承認を取得していた。

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