佐川急便が三菱UFJ銀行の京都支店1階に設置した新拠点(6日、京都市)

佐川急便は6日、三菱UFJ銀行の京都支店(京都市)に手荷物の預かり拠点を開設した。かつてのATM向けスペースを活用し、インバウンド(訪日外国人)などの荷物をホテルや空港に送る。

「荷物をあらかじめ京都駅へ送ることで、観光中は手ぶらで街歩きを楽しめる」。6日、京都市内に開設した新拠点「KYOTO Travel Satellite(京都トラベルサテライト)」について、佐川急便の田平伸一郎京都支店長は強調した。

拠点は三菱UFJ銀京都支店1階に設置し、外国人を含む旅行者の利用を想定する。荷物の一時預かりのほか、空港やホテルへの配送もできる。正午までの持ち込みなら京都駅への当日配送も受け付ける。トライアルと位置づけるが期間は定めない。

銀行の店舗内で手荷物を預けられる

佐川急便は価格競争の激しい法人に比べ単価が高いことが多い個人客の配送に力を入れている。佐川の営業所は2025年12月末で429カ所とヤマト運輸(25年3月末で約2800カ所)の7分の1にとどまる。

個人客の獲得に向け佐川が注力するのが訪日客だ。駅や空港といった決まった場所で荷物を渡せばよいことが多く、住宅向け宅配のように不在による再配達が発生しにくい。旅行者が立ち寄るルート上に拠点を新設して荷物を預けやすくする戦略を描く。

ATM跡地への拠点新設も訪日客開拓の一環だ。三菱UFJ銀京都支店がある四条烏丸地区は市中心部に位置し、祇園や錦市場といった人気観光地にも近い「一等地」。外貨の両替が可能である点も利便性を高める。

銀行側の事情もある。全国銀行協会によると、25年9月末時点の都市銀行のATMとCD(現金支払機)の台数は約1万6700台と5年で2割強減った。同支店もキャッシュレス化でATMが19台から10台に減っており空きスペースの有効活用を探っていた。

三菱UFJ銀の小杉裕司・京都支店長は「金融と非金融を一体で提供できれば地域や社会に貢献する新たな価値を生める」と話す。既に他店舗でも宅配拠点を開設できないか検討を始めているといい、まずは京都支店で需要や運用を確認する。

訪日客の利用拡大にはサービスの使い勝手も高める必要がある。佐川は25年、訪日客向けサイトを運営する中国系企業と提携し、旅行前に手荷物配送の予約から決済までウェブで完結できるようにした。

京都を含む人気観光地では、オーバーツーリズム(観光公害)が社会課題となっている。訪日客が街中で大きなスーツケースを持ち歩くことで地域交通に支障を来す例もある。佐川急便の取り組みは日本の観光の将来にも貢献する可能性を秘める。

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