伊勢丹新宿本店(東京都新宿区)

三越伊勢丹ホールディングス(HD)など百貨店大手4社が1日発表した8月の既存店売上高(速報値)は、3社が前年同月比で増収だった。免税売上高は最大で1割弱の減収にとどまり、3〜4割減だった7月以前の水準からは大きく改善した。円高進行や地震警報の影響で消費が落ち着いた前年8月の反動が出た。国内売上高は全社が増収だった。

2024年8月はそれまでの歴史的な円安から一転して円高が進行したほか、上旬には南海トラフ巨大地震のリスクが高まった際に出る臨時情報が初めて発表され、外国人が訪日を控える動きが見られた。大型台風も集客の打撃となった。

三越伊勢丹の既存店売上高は0.9%減で、免税売上高は5.2%減だった。上得意客向けの特別催事の期ずれが影響した。前年実績の水準が低い状況は「9月ごろまでは続く」と見込む一方、免税の客単価の前年割れは続いており「秋以降の祝日や休暇時期にどれだけ(売上高を)上乗せできるか」と慎重に見る。

エイチ・ツー・オーリテイリング(H2O)グループの阪急阪神百貨店は既存店売上高が5%増、免税売上高は具体的な数値は非開示だが5%以下の減少だった。高島屋は既存店売上高が6.6%増、免税売上高が9.8%減だった。

J・フロントリテイリンググループの大丸松坂屋百貨店の既存店売上高は8.6%増だった。免税売上高は6.7%増と4社で唯一増収だった。客単価は14.6%減だが、客数は24.9%増と伸長。化粧品(4割増)など消耗品の販売が伸びている。3月以降75億円前後だった免税の月間売上高は85億円弱と、直近で比較しても回復がみられる。

国内売上高は全社が増収となった。大丸松坂屋は大丸梅田店(大阪市)や松坂屋名古屋店(名古屋市)の伸びで6.3%増、高島屋は夏休みの家族向け催事などが集客に寄与し9.3%増だった。阪急阪神百貨店は具体的な数値は非開示だが、万博による集客効果などを受け「1ケタ増」だったという。三越伊勢丹は前年並み(0.1%増)だった。

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