
ちゃんぽんや皿うどんの麺を製造する長崎市銭座町の「佐藤製麺所」が8月、オーストラリア・ケアンズで現地日本人会が開いた盆踊り大会で初めて皿うどんを販売した。600食を完売。調理・販売を担当した4代目の坂本千恵さん(47)は「皿うどんを知らない人が多い中で完売できて良かった」と手応えをつかみ、現地での販路拡大につなげたい考えだ。【川島一起】
製麺所は1926(大正15)年に始まり、創業100年目。80年前の原爆投下時には、爆心地の南約1・5キロにあった木造店舗は爆風で崩れた。創業者の故・佐藤久茂さんは下敷きになって負傷したが、戦後、店を建て直した。
今も小麦の配合にこだわった創業当時の製法を守り、ちゃんぽん、皿うどんの麺と中華麺を店頭で販売。市内の飲食店に卸している。

オーストラリアへの出店は、現地在住で県産品などの輸出業をしている新宮陵照(たかあき)さん(46)から誘われたのがきっかけ。新宮さんは長崎市出身で祖父宅近くにある佐藤製麺所の麺をよく食べて育った。オーストラリアでは日本食人気は高いが、ちゃんぽんや皿うどんはメジャーではなく、新宮さんは「この味を知ってもらいたい」と提案した。
販路拡大に挑む
盆踊り大会は1万人規模が参加する大型イベントで8月16日に開催。皿うどんを食べたお客さんからは「おいしい」「長崎は日本のどこにあるのか」などの反応があった。現地の日系スーパーにも皿うどんの麺を卸した。
坂本さんは「多くの人に皿うどんだけでなく、長崎に興味を持ってもらえた。これからも長崎の魅力を知ってもらいたい」と語る。
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