ポルトガル北西部のボンダルティの工場に導入された実証設備

旭化成は2日、ポルトガルの化学大手ボンダルティと食塩電解システムの実証実験を始めたと発表した。ボンダルティ社の工場に導入された新しい電解槽で、旭化成の部材や監視システムなどを組み合わせ、長寿命化や消費電力削減など顧客の要望にあった運転システムの構築に向け検証する。

食塩電解は食塩水を電気分解し塩素やカセイソーダなどを取り出す仕組みだ。旭化成は電解槽やイオン交換膜などの部材やシステムを、ボンダルティなどの顧客企業に提供している。

ボンダルティ社のポルトガル北西部に展開する工場で運転を始める9つの新しい電解槽のうちの1つで実験する。ドイツのエンジニアリング会社CACエンジニアリングも協力する。従来品と比べて耐久力が高い部材を使いつつ、運転状況の監視や解析サービスも使いどのような運転をすれば省エネにつながるかなどを調べる。

実験では薄膜状の新しい形状の電極も使い、簡単に交換できる構造のためメンテナンスのしやすさにもつながると見込む。実験で使った電極などは金属リサイクルもする予定だ。

欧州では国境炭素税といった脱炭素関連の規制や情報開示が厳しくなっているほか、電力価格も高騰している。実際の顧客と連携し、地域や顧客ごとに異なるニーズに合わせた運転ノウハウの構築を目指す。

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BUSINESS DAILY by NIKKEI

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