ヴォーグ誌米国版の編集トップの職は、ウィンター氏㊨からマル氏に引き継がれた(マル氏の写真はコンデナストのサイトより)

【ニューヨーク=清水石珠実】米出版大手コンデナストは2日、ファッション誌「ヴォーグ」米国版の編集トップにクロエ・マル氏を指名したと発表した。同誌は名物編集長のアナ・ウィンター氏が37年間率いてきたが、6月に後任を探す意向を示していた。ウィンター氏はコンデナストにおけるグローバル事業の統括に専念する。

マレ氏は、23年からヴォーグのサイト「Vogue.com」の編集トップを務めてきた。コンデナストによると、マレ氏が同職に就いて以降、このサイトを直接訪問する読者数が倍増したという。すでに編集の右腕としてウィンター氏の信頼が厚いうえ、デジタル時代に対応した戦略を持つことが指名の理由となった。

ウィンター氏は、映画「プラダを着た悪魔」に登場するファッション誌編集長のモデルといわれている。ファッション業界を代表するトレンドセッター(流行の仕掛け人)で、後任人事には高い関心が集まっていた。

今回、米国版ヴォーグでは、「ヘッド・オブ・エディトリアル・コンテンツ」という職を新設し、マル氏を指名した。ウィンター氏は「編集長(editor in chief)」と呼ばれていたが、この肩書は引き継がない。雑誌の主戦場が紙の雑誌からネット上のコンテンツに移っていることが背景にあるとみられる。

コンデナストは2020年に国や地域ごとに分散していた編集体制をグローバルに統括する組織改革を発表した。この改革を通じて、ウィンター氏は「グローバル・チーフ・コンテンツ・オフィサー」として、ヴォーグ誌を含む傘下のすべての雑誌のコンテンツをグローバルに監督する役割に就いた。ヴォーグ誌のグローバルな編集体制のトップは今後もウィンター氏が担い、マル氏は直属となる。

マル氏の母親は米有名俳優のキャンディス・バーゲンさんで、父親は仏映画界の巨匠故ルイ・マル監督だ。ヴォーグ誌はセレブとの独自インタビューなどに強みをもつ。マル氏が映画の都ハリウッドと強いネットワークを持つことも評価されたようだ。

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