大林組は4日、大阪・関西万博のパナソニックホールディングス(HD)のパビリオン「ノモの国」の設備や建材を東京都内の技術研究所の建物で再利用すると発表した。照明機器や歩道ブロックなど約30品目を活用する。顧客に紹介し、廃棄を減らして資源を効率よく循環させる「循環経済」(サーキュラーエコノミー)を後押しする。

パビリオンを解体した後に設備機器や建材を東京都清瀬市の技術研究所内に運び、2026年6月に完成予定の実験棟に使う。ウッドデッキを屋外通路に採用するほか、歩道ブロックを外構部分に敷く。監視カメラや洗面器など計約180点を設置する。

大林組が技術研究所内で建設中の実験棟の完成イメージ

一般的な建物は解体されると素材ごとにリサイクルされるか最終処分されている。建材をそのまま再利用することで解体や新品を製造する際の二酸化炭素(CO2)排出を抑えられる点をアピールする。

他の場所に建材を運ぶ際にもコストやCO2排出が生じる。そこで日本通運と組み、大阪から東京までの建材輸送で鉄道を利用。トラック輸送と比べて輸送時のCO2排出を約75%削減する。

大林組は同日、実験棟の工事現場で先行して6月に完成した1期工事部分を報道陣に公開した。基礎のコンクリートや鉄骨の柱の一部を再利用し、構造部材の製造に伴うCO2を約49%減らしたという。

大林組の再利用した鉄骨(赤く塗った部分)を使った技術研究所内の実験棟(4日、東京都清瀬市)

実験棟は見学も受け付けており、資源循環など先進技術のショールームとして運用する。

大林組環境経営統括室企画部の中込昭彦部長は「顧客から以前よりも環境配慮に対する質問や提案を多く受ける」と語る。資材価格の上昇が続くなか、解体した建材の再利用は新品の採用に比べてコスト面で優位性が出る可能性もある。解体後に建材を再利用しやすい建物の設計手法も検討する。

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