都内スーパーのビール売り場

ビール大手4社が14日までに発表した7月の国内ビールの販売数量は、前年同月比1%増と4カ月ぶりにプラスとなった。4月の一斉値上げでビール販売は低迷が続いたが、猛暑や花火大会など野外イベントの需要が消費を押し上げた。8月も気温が高い日が続いていて、稼ぎ時の夏場で消費を回復軌道に乗せられるかが焦点になる。

発泡酒などを含むビール類飲料全体は2%減と4カ月連続で前年割れだった。容器別ではスーパーやコンビニエンスストアで販売する家庭用の缶が2%減、飲食店向けの瓶やたるは1%減だった。

発泡酒や第三のビールを合わせた「エコノミージャンル」は6%減で、4カ月連続でマイナスとなった。デフレ経済下では安く飲める商品とされていたが、酒税改正でビールとの価格差が縮まり、ビール回帰が進む。ただ、業界内では「月初の見立てより減少幅が小さく、物価高のなかでエコノミーは一定の需要はある」という声もある。

連日続く猛暑もビール類の販売を押し上げた。気象庁によると、今年7月の月平均気温は平年(1991〜2020年の平均値)より2.89度高かった。統計開始(1898年)以降、過去最高となった。7月の平均気温が3年連続で過去最高を更新し、暑ければ売れるビール類にとっても追い風となった。

主要ブランドでは明暗が分かれた。4月に発売した新商品が寄与しキリンビール「一番搾り」が8%増だったほか、サッポロビール「黒ラベル」も3%増だった。一方、サントリー「ザ・プレミアム・モルツ」は前年に販売した限定品の反動から13%減だった。アサヒビール「スーパードライ」も3%減だった。

企業別のビール類の販売実績はサントリーが3%減、サッポロが4%増だった。金額ベースのみを公表しているアサヒは2%増、キリンは1%増だった。

8〜10月の気温も全国的に平年より高いと予測される。ただ、「酷暑」になると需要が清涼飲料に流れるほか、外出を控えるといった人が増えて消費意欲も減退する可能性も高い。

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BUSINESS DAILY by NIKKEI

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