
プライベートブランド(PB)の家電製品の製造や修理を委託する下請け業者に支払う代金を不当に減額したとして、公正取引委員会は8日、家電量販大手「ヨドバシカメラ」(東京都新宿区)の下請け法(減額の禁止)違反を認定し、再発防止などを勧告した。
公取委によると、ヨドバシカメラはPBのモバイルバッテリーや乾電池などの製造を委託する3社に代金を支払う際、発注段階に合意した金額から「リベート」や「協賛金」の名目で一定額を差し引いていた。
顧客のパソコンやテレビなどの修理を委託した2社と、パソコン設定などのサポートサービスの委託先1社の代金についても同様に減額。2024年1月から25年3月にかけて、6社に対する不当減額は計1349万円に上ったという。
下請け法は今回のような委託取引で、下請け業者側に原因がある場合を除き、決定後の減額を合意があっても禁じている。

公取委の調査に対し、ヨドバシカメラは「下請け業者側から提案を受けて製造を委託したPB商品に下請け法が適用されるとの認識がなく、事後的な減額が違法との理解も不足していた」と説明。一方、下請け業者は「減額に合意していたので理不尽とは思わなかった」などと話したといい、双方に違法性の認識が欠如していたとみられる。
下請け法が禁じる「減額」は家電量販大手で相次いで発覚。23年6月に「ノジマ」(横浜市)、25年2月には「ビックカメラ」(東京都豊島区)が公取委の勧告を受けた。ヨドバシカメラについては中小企業庁や関東経済産業局が調査を行い、25年7月末、公取委に勧告するよう求める「措置請求」をしていた。
公取委によると、3事件に共通するのは、いずれもPB製品の委託に関する違反▽違反行為の内容が不当な「減額」▽発注者側の下請け法の認識不足が要因――だという。公取委幹部は「業界上位に属する企業がそろって同じような違法行為をしていたことが問題。業界全体に注意喚起を続ける」としている。【山田豊】
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