協和キリンは9日、アトピー性皮膚炎の治療薬候補「ロカチンリマブ」の臨床試験(治験)について、中間的な解析結果を発表した。投与頻度を月1回から2カ月に1回へ減らしても多くの患者で効果が続いたとした。早ければ2025年内にも米国で承認申請する。 

協和キリンはロカチンリマブをバイオ医薬品大手の米アムジェンと共同開発する。アトピー性皮膚炎の患者は多く、同薬が実用化すれば年間の世界売上高が1000億円を超える大型薬に育つとの推計がある。現在は投与開始から最大2年半と長期にわたって薬の安全性と有効性を調べる治験を実施中だ。今回は投与1年後の結果の概要を発表した。

一部の患者では投与開始から半年後に、薬の投与頻度を月1回から2カ月に1回へ減らした。このうち大多数では1年後も皮膚症状などへの効果が維持された。薬が効く患者では、投与頻度を減らして負担を抑えられる可能性があるとみている。効果が続いた患者の割合は示さなかった。

成人患者を調べたところ、薬の副作用などが起きたために投与を中止した人の割合は低く、一定の安全性が確認された。投与を中止した患者の具体的な割合は示さなかった。副作用などの種類はこれまで実施した短期の治験で確認したものと同様だった。

9日に開いた投資家向け説明会で協和キリンの山下武美副社長は「個人的な期待に照らして有望な結果が得られている」と話した。治験の詳細な結果は今後の学会などで発表を検討する。

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BUSINESS DAILY by NIKKEI

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