
マルハニチロは9日、サンマの試験養殖に成功したと発表した。2024年6月にサンマの卵を出荷目安である100グラムを超える成魚まで育てた。サンマは不漁が続いているものの、事業的規模の養殖にはまだこぎ着けていないという。同社は商業出荷できるよう、大量生産に向けた精度を磨いていく。
マルハニチロは、公益財団法人ふくしま海洋科学館(福島県いわき市)からサンマの卵の提供を受け、鹿児島県にある同社拠点の陸上水槽内で育てた。世界で初めて水槽内でサンマの繁殖に成功した同館に、飼育面でも技術支援を受けた。
同社はクロマグロやブリなどで培ってきた技術を生かし、サンマ養殖に適した餌や飼育設備の研究を重ねてきた。事業化に向けて、大量生産技術の開発や人工ふ化から育った親魚が産んだ卵を成魚まで育てる完全養殖に取り組む。
水産研究・教育機構によると、日本のサンマの漁獲量は22年に2万トンを下回った。24年は3万9300トンまで持ち直したものの、1995年以降でピークだった2008年(35万4727トン)の10分の1近い水準まで落ち込んでいる。

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