
小型衛星の開発を手がけるアクセルスペースホールディングスが13日、東証グロース市場に上場した。初値は751円と公開価格(375円)の2倍をつけ、時価総額は431億円に達した。中村友哉・最高経営責任者(CEO)は「小型衛星開発で、世界でもユニークな存在」と述べた。中村CEOと折原大吾最高財務責任者(CFO)との主なやりとりは以下のとおり。
中村CEO「アクセルスペースは設立してから17年間をかけ、小型衛星をより安く速くつくる技術を築き、世界でもユニークな企業となった。培った技術をもとに、小型衛星や専用機器を開発する事業『アクセルライナー』と、衛星データを提供する事業『アクセルグローブ』を展開する。現状では赤字だが、事業の進捗としては順調だ」
――公開価格の375円を大幅に上回り、13日の終値は674円をつけました。
中村CEO「多くの投資家の皆さんから評価してもらえたことは大変うれしい。今日の株価に一喜一憂することなく、成長性を示すことでさらに期待してもらいたい」
――商業衛星の開発で著名な東京大学大学院の中須賀真一教授の研究室の出身です。中須賀教授から何と声をかけられましたか。
中村CEO「中須賀教授はアクセルスペースの創業のきっかけをつくってくれ、上場セレモニーにも来ていた。上場をゴールと捉えるのではなく、スタートとして成長をしていきたい。小型衛星の可能性を、世の中に示していきたい」
――2026年5月期の最終損益は38億円の赤字の見通しです。黒字転換はいつになりますか。
折原CFO「いつ黒字転換するか、なかなか申し上げにくい状況だ。今後、上場で得た資金を使って、26年に小型地球観測衛星を7基打ち上げる。こうしたプロジェクトが、アクセルスペースの収益や成長に大きく寄与していくと考えている」
――米運用会社のブラックロックも投資の意向を示しました。海外機関投資家からどういったポイントを評価されましたか。
折原CFO「(海外機関投資家を回る)ロードショーで、新規事業の『アクセルライナーラボラトリー』が非常にユニークだと評価された。同事業は小型衛星のスペースを分割し、機器メーカーなどの顧客が容易に実証できるようにした。こうした衛星のサービスを提供する企業は世界でも極めて少ない」
――未上場の状態でも、資金調達ができたのではないでしょうか。
折原CFO「上場によって中長期での成長に向けた資金の確保に加えて、知名度の上昇により人材採用でも効果があると考えている。具体的な検討をしているわけではないが、M&A(合併・買収)を含めたインオーガニックな成長も検討できるようになる」
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