
日経リサーチは企業のブランド力を測定・分析する2025年版の「ブランド戦略サーベイ」をまとめた。総合評価ではヤマト運輸が3年連続の首位となった。物価高で個人消費が落ち込む中でも、インターネット通販などを支える身近な生活インフラとして高い評価を得た。2位のパナソニックはとりわけ美容家電で若い女性層から支持を集めた。

今回が23回目となる同サーベイは各業種を代表する600社を対象に6月に調査を実施。企業ブランドの価値水準を知覚指数(PQ)として算出し、ランキングした。
総合評価首位のヤマト運輸は8月から大型マンションでロボットによる配送の実証実験を始めた。宅配ボックスに入っている荷物をロボットが取り出し、送り先の部屋に運ぶ仕組みで、消費者の夜間や早朝に受け取りたいといった要望に応えられる。また、法人向け物流の共同輸送網を広げるなど、社会問題となっている人手不足への対応でリーダーシップを発揮していることなどが高い評価につながった。
日本コカ・コーラ、明治、味の素の3社が新たにトップテン入りした。前年調査の19位から6位に上昇した明治は、価格が高めの機能訴求型食品の開発といった施策がビジネスパーソンに高く評価されたもよう。
トップテン以外ではトヨタ自動車が前年の28位から13位に急上昇した。グループのKINTO(キント、名古屋市)が手掛ける車のサブスクリプション(定額課金)サービスや自動運転などの実証都市「ウーブン・シティ」の取り組みといった、大企業でありながら新たなビジネスモデルへ挑戦する姿勢が若年層の支持を集めた。
総合評価の構成要素となる個別指標をみると、消費者対象の知覚指数「PQ-C」では味の素が首位となった。さらに2位のキユーピーから8位の日清食品まで食品会社が上位を占めた。インフレ傾向がつづくなか、出費を抑えつつ手軽で多様な食事を自宅で楽しみたいとする消費者ニーズが高まっているもようだ。

同指数では鉄道の上昇も目立ち、JR西日本が前年の128位から78位に、JR東海が113位から74位に順位を上げた。国内旅行需要の増加が背景にあるとみられる。
ビジネスパーソン対象の知覚指数「PQ-B」では、日本マイクロソフトが2年連続で首位となった。また、カシオ計算機が前年12位から2位に、花王が40位から4位に躍進した。

今回が3回目の測定となる指標「社会必要度」は、企業や企業が提供する製品、サービスがこれからの社会をより良く変えてくれるかといった期待度合いを測ったもので、消費者編とビジネスパーソン編でそれぞれランキングしている。
消費者編の1位はTOTOで前回3位から評価を高めた。ビジネスパーソン編では前年は4位だったトヨタ自動車が首位となった。
総合PQ上位ランキングの詳細はこちら(https://service.nikkei-r.co.jp/service/bss/brand-ranking)。総合PQ600社ランキングは日経リサーチのホームページからの登録でご覧いただけます。鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。