日本生命保険は12日、銀行などの販売代理店に出向した社員が、2019年5月からの約6年間で計604件の内部情報を無断で持ち出していたと発表した。三菱UFJ銀行など7社に出向した13人と、日本生命側で情報を受け取った23人が関与した。今後、関係役員を含め、社内処分を検討する。
7月に三菱UFJ銀への出向者による不正が発覚し、調査していた。日本生命は同日、金融庁に社内調査の結果や再発防止策を報告した。東京都内で記者会見した赤堀直樹副社長は「ご迷惑とご心配をおかけし、深くおわびする」と陳謝した。
情報の持ち出しに関し、同社は「不正競争防止法における営業秘密保護の趣旨に照らして適切ではなかった」と説明。現在、出向先に機密情報に当たるか確認する作業を進めており、法令に抵触するかが今後、焦点となる。調査期間より前に同様の不正があったかについては、「可能性は否定できない」と明らかにした。
情報を持ち出した13人は、出向先の上司などから許可を得ずにスマートフォンのメッセージアプリや郵便で日本生命の金融法人部門に送っていた。同部門を通じ、役員や部長を含め最大約270人と情報を共有していた。
不正の背景については、無断で情報を持ち出すことが不適切だと認識しながらも、自身の評価につながると期待したと分析した。本社側の指示に関しては、「明示的には認められなかった」と結論付けた。
金融機関に出向した社員が無断で内部情報を持ち出していた問題で、会見冒頭に頭を下げる日本生命の赤堀直樹副社長(中央)ら=12日午後、東京都千代田区
金融機関に出向した社員が無断で内部情報を持ち出していた問題で、記者会見する日本生命の赤堀直樹副社長(中央)=12日午後、東京都千代田区
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。