
NHKが、民放と中継局を共同利用するために昨年末に設立した子会社「日本ブロードキャストネットワーク」について、採算見通しが立たず、運営が難しくなったとして、方針を見直す意向を在京民放各局に伝えたことが12日、関係者への取材で判明した。NHKは、同社を中心に、地方民放局のインフラ面での費用負担軽減などを図る方針だった。
同社は昨年12月に設立。民放各社からも出資を受け、今年末にも事業を本格化させる予定だった。関係者によると、NHKが事業性を改めて検証したところ、物価上昇などから事業規模が当初見込みより増大する可能性が高くなったことが分かったという。NHKと民放は、一部の中継局をインターネットで代替することも検討したが、費用削減はできず、事業として採算が取れないと判断した。
インターネットの普及などで民放の経営が厳しくなる中、山間地などの中継局維持が課題になっており、昨年5月に成立した改正放送法では、放送ネットワークの維持について、NHKに民放との協力が義務づけられた。NHKは、2024~26年度の中期経営計画に民放との二元体制維持のために600億円の予算を盛り込んでいた。NHKは今後、同社以外の形での案を検討し、民放中継局の費用負担も考えるという。【井上知大】
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