20年連続で商業地の基準地価最高価格となった明治屋銀座ビル=東京都中央区で2025年9月14日、手塚耕一郎撮影

 国土交通省が16日発表した7月1日時点の基準地価は、全国平均(全用途)の変動率が前年比プラス1・5%となり、4年連続で上昇した。住宅地、商業地も含め、全国平均の上昇率はいずれも、バブル崩壊で下落した1992年以降の最大値を更新した。

 全用途を見ると、東京・大阪・名古屋の3大都市圏ではプラス4・3%。5年連続で上昇し、前年(3・9%)を上回る伸びだった。東京圏はプラス5・3%、大阪・関西万博で盛り上がる大阪圏もプラス3・4%でいずれも前年から上昇した。

 一方で、地方圏はプラス0・4%と上昇幅が前年から横ばいだったほか、地方4市(札幌、仙台、広島、福岡)はプラス5・3%と前年(6・8%)から減速。福岡市はプラス8・3%で前年(10・9%)から上昇幅が縮小した。

 その他の地方圏もプラス0・2%と横ばいで、オフィスやマンション需要が活況な大都市圏と地方圏で勢いに差が出た。

 国交省の担当者は「東京や大阪圏はインバウンド(訪日客)や住宅需要が強い一方、地方都市はコロナ禍からの回復基調が一巡した」と説明する。

 商業地は全国平均でプラス2・8%と4年連続で上昇し、上昇幅は前年(2・4%)から拡大した。このうち3大都市圏はプラス7・2%と前年(6・2%)から上昇幅が大幅に伸びた。地方圏もプラス1・0%と3年連続で上昇した。好調なインバウンドによる店舗やホテルの需要などが後押しした。

 住宅地も全国平均でプラス1・0%と4年連続で上昇し、上昇幅は前年(0・9%)から拡大。3大都市圏はプラス3・2%で4年連続で上昇し、堅調な住宅需要が下支えする。地方圏ではプラス0・1%と前年から横ばいだった。

 商業地の上昇率トップは国内半導体企業「ラピダス」が工場進出した北海道千歳市でプラス31・4%。インバウンドからも人気の観光地、長野県白馬村や岐阜県高山市、東京都台東区浅草も大幅に上昇した。

 住宅地の上昇率トップは人気リゾート地の北海道富良野市でプラス27・1%。北海道真狩村や沖縄県宮古島市も20%近く上昇し、移住者らの需要が高いエリアの伸びが目立った。そのほか子育て政策の充実などから転入者が多い茨城県つくば市や千葉県流山市も上昇した。

 商業地の最高地点は20年連続で東京・銀座の「明治屋銀座ビル」。1平方メートル当たり4690万円で、プラス11・4%だった。住宅地の最高は7年連続で東京都港区赤坂1丁目の地点で1平方メートル当たり643万円でプラス15・6%だった。【杉山雄飛】

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