EMS機器「ペリネフィット」開発担当者の菅原恵美さんは「密着性を高める構造にこだわった」と語る

トレーニング機器「シックスパッド」や美容機器「リファ」を手掛けるMTGは、女性の健康課題を技術で解決する「フェムテック」に参入する。女性向けの新カテゴリーを立ち上げ、尿漏れケアの効果が見込める下着や電流で筋肉を刺激する「EMS機器」を売り出す。同社は男性向け製品のイメージが強いが、女性や高齢者向けに商品を増やしてブランドの「脱マッチョ向け」を進める。

機能下着やEMS機器発売。年40億円目指す

17日に都内で新カテゴリー「SIXPAD for Women」の発表イベントを開き、腰回りを支える下着や26年春に発売予定のEMS機器など3種類の商品を初公開した。シックスパッドの事業責任者である石谷桂子上席執行役員は「女性特有の悩みや課題に対し、一緒に解決策を考えていく存在になりたい」と意気込んだ。

MTGが注目したのが骨盤周辺の筋肉だ。10月15日に発売予定の女性用下着「骨盤底筋ケアガードル」(税込み1万1000円)は、ぼうこうなどの内臓を持ち上げることで加齢による下腹部の「ゆるみ」や血行促進へのアプローチが期待できる。

2026年1月に発売予定のEMS機器「ペリネフィット」ではトレーニングしづらい骨盤底筋を鍛えられる。尿トラブルに加え、生理前に起こる月経前症候群(PMS)などの予防にも効果があるとみる。商品企画課の菅原恵美さんは「密着性を高める構造にこだわった。出産された方や(下腹部の筋力低下に悩む)20〜30代の若者にも使ってもらいたい」と語る。

MTGは女性向けカテゴリーを立ち上げフェムテック関連商品を販売する

製品の効果に関する研究にも取り組んでおり、論文も発表したい考えだ。シックスパッドは既に20以上の大学とEMSに関する研究を重ねている。

フェムテック関連で女性客へのアプローチを増やす。石谷上席執行役員は「冷えや生理などの悩みに対応する商品を今後増やし、フェムテック関連の売り上げを2年後に年40億円まで高めたい」と話した。

矢野経済研究所によると、24年のフェムケアとフェムテックの市場規模見込みは798億円と20年比で33%増加している。

医療施設や高齢者向けにも拡大

フェムテック以外にも、顧客層拡大に向けて商品を増やしている。医療施設や整体院に向けては、年内をめどに初の業務用EMS機器「メディカルプロ」を発売する。使用量に応じて料金を徴収する仕組みで、導入側は初期コストを抑えられるのが魅力だ。

主に高齢者に向けては、足を乗せるだけで足裏やふくらはぎを鍛えられるEMS機器「フットフィット」を展開する。運動のサポートや転倒防止に効果が見込まれ、累計販売数は100万台を突破するなどヒット商品へと成長した。

ラインアップ多角化の背景にはシックスパッドの売り上げの不調がある。24年3月期の同事業の売上高は23年比微増の132億円にとどまった。特におなかを鍛える「コアベルト」など「スポーツ」カテゴリーでは、22〜24年通期で2年連続売り上げが減少した。

(道上拓矢)

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