
【北京=時事】中国南部で、ウイルス性疾患のチクングニア熱が猛威を振るっている。感染者数は直近で減少傾向にあるものの、広東省の保健当局によると、同省だけで今年に入り1万人近くが感染。当局は封じ込めに躍起で、新型コロナウイルス流行時の厳しい統制措置「ゼロコロナ」をほうふつさせると懸念する声も上がっている。
チクングニア熱は蚊が媒介する感染症。厚生労働省のサイトによると、2〜12日間の潜伏期間を経て、発熱や関節炎、発疹といった症状が出る。死亡することはまれだ。ワクチンや予防薬はない。
中国では7月ごろから広東省仏山市を中心に流行し、同省に隣接する香港などでも感染者が確認された。当局は感染抑制の徹底を命じ、ドローンを駆使して民家の屋上やベランダを捜索。蚊の発生源となる鉢植えや水がたまった容器の強制撤去に乗り出した。
今月上旬には、広東省湛江市で当局が午前1時台に家を訪れ、子どもの採血を強行する様子がSNSに投稿され、波紋を呼んだ。母親は夜勤で留守だった。子どもの発熱を知った地元の診療所が当局に通報したと報じられている。
仏山市政府は7日、さらなる対策強化と蚊の撲滅を目指し「愛国衛生運動」を開始すると宣言。愛国衛生運動は、毛沢東が1950年代にハエやネズミを駆除するよう呼び掛けた際のスローガンだ。2022年には、習近平国家主席が新型コロナ対策に関して同じ言葉を使った。
X(旧ツイッター)では、採血のため屋外に並ばされる住民や市街地で大量の殺虫剤をまく様子を映した動画が拡散。中国のSNSでも「コロナ時代の再来だ」といったコメントが出ている。
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