
【キーウ=共同】ロシア極東に出稼ぎ目的で派遣された北朝鮮労働者が、ロシア軍と契約を結び入隊していることが21日、ウクライナ国防当局の分析で分かった。国防省情報総局当局者が明らかにした。今年7月ごろから数百人規模でロシア西部クルスク州に配属されていると分析。ロ朝の軍事連携強化の一環とみられ、ウクライナ側が警戒を強めている。
ロ朝両政府は公式に認めていない。現時点の規模では軍事的な影響は限定的とみられるが、ロシア軍は自国兵の不足を補塡できる。北朝鮮にとっても労働者がロシア軍から受け取る報酬によって外貨稼ぎを期待できることから、入隊者はさらに増える可能性がある。
情報総局当局者によると、ロシア国内での情報活動で判明した。ロシア極東に出稼ぎ労働者として渡航した後、ロシア軍と契約を交わし、ウクライナ軍が越境攻撃を仕掛けたクルスク州に展開するロシア軍の機械化旅団や海兵隊などに少数ずつ編入されているとみられている。現時点で実戦参加は確認されていない。
北朝鮮軍兵士はクルスク州の前線に投入され、ウクライナ軍との戦闘に加わった。ウクライナ政府によると、これまでに兵士1万数千人が同州に送られた。ロシアは今年4月、同州を完全奪還したと発表し戦闘は沈静化。情報総局当局者は、ロシア軍に入隊した北朝鮮人が今後、ウクライナ領内での戦闘に参加する可能性もあるとみる。
北朝鮮は組織的に出稼ぎ労働者を中国やロシアなどに派遣しており、労働者は現地で集団生活をして監視下に置かれるのが一般的。ロシア軍への入隊は、北朝鮮当局が指示したか、容認している可能性が高い。
ロシア極東ではかつて、北朝鮮労働者が建設や農業などに従事。重要な労働力だったが、北朝鮮の核・ミサイル開発を理由に、国連安全保障理事会が制裁を科し、就労は原則禁じられた。だが、ロ朝関係者によるとウクライナ侵略後、極東で北朝鮮労働者の受け入れが再び進んでいる。
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