アンティファとみられる活動家=ロイター

【ワシントン=芦塚智子】トランプ米大統領は22日、極左運動「アンティファ(反ファシスト)」を「国内テロ組織」に指定する大統領令に署名した。関連する政府機関に同運動の違法行為を「捜査、阻止、破壊」し、資金提供をした者についても捜査や摘発をするよう指示した。

トランプ氏は保守活動家のチャーリー・カーク氏が銃撃され死亡した事件を機に、「過激な左派勢力」への圧力を強めている。

大統領令は、アンティファを「米政府の転覆を明確に求める軍事主義でアナキスト(無政府主義)の組織」とし、組織的な暴動や警察当局者への暴力、ドキシング(悪意のある個人情報の収集や流布)などによる「政治的暴力」を組織し、実行していると断じた。

トランプ氏は17日に自身のSNSでアンティファをテロ組織に指定すると表明していた。大統領令は「国内テロ組織」指定の法的根拠や、どの大統領権限に基づくものかは明らかにしていない。

2020年の議会調査局の報告書によると、アンティファは独立した急進的なグループや個人による分散型の運動で、アナキズムや社会主義、共産主義を信奉するメンバーが多い。違法行為や暴力を排除しない者もいる。組織がはっきりしない運動をどう取り締まるのか、具体的な方法は不明だ。

同報告書は、米連邦捜査局(FBI)はアンティファなどをテロ捜査の対象としてきたものの、テロ組織に指定することは言論の自由を保障した憲法修正第1条を侵害する恐れがあるとして見送ったと説明している。

カーク氏殺害の容疑で訴追されたタイラー・ロビンソン容疑者の動機や背景は明確になっていないが、トランプ政権は左派を標的にする姿勢を鮮明にしている。

トランプ氏は第1次政権でもアンティファをテロ組織に指定すると主張した。2020年に白人警官の暴行による黒人死亡事件への抗議デモをきっかけに一部が暴徒化した際に唱えた。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。