2025年に竣工する商船三井のLNG船

【巨済(韓国南東部)=鷲田智憲】商船三井は26日、新造された液化天然ガス(LNG)船を韓国において公開した。2025年中に竣工する予定。船内には休憩スペースやカラオケルームを設置し、船員にとって働きやすい環境を整えた。

今回竣工するLNG船は日系企業向けで、全長294.9メートル、幅は46.4メートル。積載容量は17万4000立方メートルのメンブレン型となる。25年度中にもう1隻の竣工を予定している。同社エネルギー事業本部の鈴木隆仁専任部長は「LNGの安定輸送を通じ、引き続き代替エネルギーへの変革に貢献していく」と話した。

LNGは零下162度に冷やして輸送する。それでも輸送中にガスの一部が温められて気化してしまう。多くの船はこうして気化したガスを燃料として運行するが、新たな船では再び液化して貨物タンクに戻せる装置を搭載する。

船員用に憩いの場を設けた

LNG船には1隻あたり30人ほどの船員が乗り込む。乗船期間が数週間に及ぶこともあり、外航船に乗る船員の心身の健康保持が世界的な課題となっている。このため、船員同士が交流できるカフェのような空間や、防音のカラオケ室も設けた。

商船三井は1980年代からLNG船の運航を続けており、M&A(合併・買収)などで船隊規模を拡大してきた。発注残を含めた運航隻数は138隻(25年3月末時点)と日本郵船(121隻)を上回り世界最大だ。今後も北米などを中心にガス田の開発が続くとみられ、安定収益事業として新船を増やす方針。

韓国の造船所はLNG船の建造量で世界トップだ。特に付加価値の高い船舶に注力して開発を進めていて、豊富な造船ドックを背景に受注を増やしている。近年は中国も建造規模を増やしていて、価格面で優位に立ちつつある。

商船三井韓国の藤井亨代表は「事業を行う上で造船会社は欠かせない。韓国においても造船所と今後も密着に連携していく」と述べた。

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