致死的なウイルスの感染症「クリミア・コンゴ出血熱」に効果的な治療法やワクチンがないなか、愛媛大学などで作る研究チームが25日、感染を抑制する因子を発見したと発表しました。この因子の発見には愛媛大学独自の小麦を使った無細胞タンパク合成技術が使われていて、予防法や治療法の開発への応用が期待されるとしています。
「クリミア・コンゴ出血熱」は、ダニがウイルスを媒介して発熱と出血をきたす感染症。主に中東やヨーロッパでの感染が多く、致死率が30~40%とされているものの、効果的な治療法やワクチンはありません。
愛媛大学によりますと、この大学の先端研究院プロテオサイエンスセンターの高橋宏隆准教授や長崎大学の専門家の研究グループが、このウイルスの感染を抑制する因子を発見しました。
研究では「クリミア・コンゴ出血熱」のウイルスの主要な構成タンパク質と、感染した細胞の中の様々なタンパク質がどう作用し合うかを解析。この解析では愛媛大学独自のコムギから無細胞タンパクを作る技術で、ウイルスの主要な構成タンパク質とヒトの転写・翻訳に関わる約1100種類のタンパク質を作り、結合し合うタンパク質を探しました。
この結果、10種類のヒトのタンパク質がウイルスの主要な構成タンパク質と強く影響を及ぼし合うことが明らかになり、さらに一部がウイルスの複製を妨害する因子として働いていることを突き止めたとしています。この中でも「ZFP36L1」と「L2」というタンパク質は複製を阻害する効果が高く、致死的な感染症に対し、生体の防御機能として働いていることが判明したとしています。
高橋准教授は「この解析の手法は動物を使う研究より安全で有効性が示された。ほかの毒性が強いウイルスの研究にも幅広く応用が可能」とし、今後は詳細は感染防御のメカニズムを調べることで、予防法や治療法の開発への応用が期待されるとしています。
愛媛県でも被害者が出るマダニ感染症・SFTSのウイルスは、この出血熱のウイルスのグループにあたるとしています。
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