何度も重大事故を起こしたボーイングの「737MAX」=ロイター

【ヒューストン=大平祐嗣】米航空機大手ボーイングは小型主力機「737MAX」の後継機の開発に着手した。米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が30日報じた。同機での重大事故により品質問題に直面するボーイングにとって、欧州エアバスに奪われたシェアを取り戻す成長戦略の一環だという。

WSJによると、ボーイングのオルトバーグ最高経営責任者(CEO)が2025年初めに英国のロールス・ロイス・ホールディングス幹部と面会し、新型機の新エンジンについて協議した。操縦室の設計も始めている。

ただ開発は初期段階とみられる。新型機の開発には10年以上かかることが多い。

ボーイングは声明で後継機の報道については明言せず、「新製品の開発を進める適切な時期に備えている」と記した。同時に「約6000機ある既存の受注残の納入や(発表済みの)新型モデルの認証取得を含む計画に注力していく」などとコメントした。

ボーイングは18年に2件の墜落事故と、24年には飛行中の機体で非常ドアが吹き飛ぶ事故を引き起こした。安全な生産体制の構築や経営陣の交代、ストライキなど混乱が続いてきたなかで、新規開発に着手したことは同社にとって方針転換となる。

短距離用のナローボディー(通路が1本の機体)を巡っては、ボーイングが737シリーズを1968年にいち早く市場投入した。同じ小型機のA320シリーズをエアバスが投入したのは80年代だったものの、直近数年のボーイングの混乱中に追い上げており、現在は両シリーズの世界の累計納入台数は12000機で同水準となっている。

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