
【NQNニューヨーク=戸部実華】1日の米株式市場でダウ工業株30種平均は4日続伸し、前日比43ドル21セント高の4万6441ドル10セント(速報値)で終えた。連日で最高値を更新した。労働市場の減速を示す経済指標の発表を受けて米連邦準備理事会(FRB)による追加利下げ観測が高まり、株買いを支えた。
1日朝発表の9月のADP全米雇用リポートで非農業部門の雇用者数は前月比3万2000人減と、ダウ・ジョーンズ通信がまとめた市場予想(4万5000人増)に反して減った。8月分も下方修正された。
ADPのチーフエコノミスト、ネラ・リチャードソン氏は「米国の雇用主は採用に慎重になっている」と分析した。雇用鈍化を踏まえてFRBが10月下旬に開く会合で追加利下げに動くとの観測が改めて広がった。
米サプライマネジメント協会(ISM)が1日に発表した9月の製造業景況感指数は49.1と8月から小幅に改善し、市場予想(49.0)もやや上回った。好不況の境目となる50を下回る状態は続いたものの、一段の景況感悪化への懸念を強める内容ではなかったとの見方も相場を支えた。
ダウ平均の構成銘柄ではないが、製薬のファイザーが連日で大幅高となった。前日にトランプ米大統領が米国内の薬価引き下げで合意したと発表。同社は米国の投資計画を公表し、当面は輸入関税の対象外となる。
市場では同業他社とも同様の合意が見込めるとの思惑が広がっている。関税の影響など製薬関連を巡る懸念が薄らぎ、ダウ平均の構成銘柄ではメルクやアムジェンが大幅に上昇したことも指数を支えた。
ダウ平均は下げる場面もあった。米国では10月から始まる新しい会計年度の予算をまかなう「つなぎ予算」が成立せず、米連邦政府予算が1日に失効した。これに伴い、政府機関の一部が閉鎖した。「米株に対するセンチメントに悪影響を及ぼす」(SIAウェルス・マネジメントのコリン・チェシンスキ氏)との見方があった。
ダウ平均の個別銘柄では、前日夕に発表した2025年6〜8月期決算が市場予想に反して増収となったナイキの上昇が目立った。ビザやIBM、キャタピラーも買われた。一方、ホーム・デポやJPモルガン・チェース、シャーウィン・ウィリアムズは下げた。
ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は4日続伸し、前日比95.148ポイント高の2万2755.157(速報値)で終えた。多くの機関投資家が運用指標とするS&P500種株価指数は初めて6700台に乗せ、9月22日以来となる最高値を更新した。
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