山形大学のサークル「四面楚歌」のメンバーら関係者と記念撮影に納まる駐日ベトナム大使館のヒエウ大使(後列右から3人目、3日、山形市)

日本貿易振興機構山形貿易情報センター(ジェトロ山形)は3日、山形市内でベトナム経済セミナーを開いた。県内企業とベトナムのつながりを太くする狙いだ。共催した駐日ベトナム大使館のファム・クアン・ヒエウ大使が本国経済の実情や展望を説明。現地法人を持つ精密機械部品加工の遠藤製作所(同市)はベトナム人材活用を紹介した。

ヒエウ大使はベトナムと日本の関係強化が進んでいることを強調した。そのうえで、IoTを活用したスマート農業での連携や製造業のさらなるベトナム進出などを呼びかけた。

山形県内に住む外国人のうち、ベトナム国籍が2024年末で29%(3026人)と最多なことにも言及。「ベトナム人労働者を山形に受け入れて育て、そうした人材がベトナムに進出した工場で活躍するエコシステム(生態系)を強化したい」と述べた。

遠藤製作所の西嶌氏は自社のベトナム人材活用について説明した(3日、山形市)

遠藤製作所の西嶌新・営業部マネージャーは、操業開始から10年以上たつハノイのベトナム現法と山形市の工場でシームレスな生産体制づくりを進めていることを説明した。ベトナム人技術者を山形へ長期出張させ、金属を部品に切削加工するためのプログラムや設備などの標準・共通化につなげつつある。

すでにプログラム製作をベトナム現法に委託し始めており、日本の人材不足を補いながら部品を安定供給する力を高める。商社勤務を含めてベトナムで16年弱暮らした西嶌氏は「国を好きになり、文化を深く理解し、人を信じれば、現地での事業は必ずうまくいく」と力を込めた。

東北を代表する夏祭りの一つ「山形花笠まつり」で、25年は踊り手が使う花笠の一部がベトナム産になった。編み手不足に悩む民芸品販売の尚美堂(山形市)が、ジェトロ山形の仲介で調達した。軽くて丈夫なのが特徴で、セミナーでは山形大学のサークル「四面楚歌(そか)」がベトナム産花笠を回し、躍動感ある踊りを実演した。

尚美堂の取り組みは、山形市も補助金で後押しした。佐藤孝弘市長は「今回のセミナーが具体的な事業機会の発掘や産業交流のきっかけになれば」としている。

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