
【パリ=北松円香】フランスのルコルニュ首相が6日、マクロン大統領に辞表を提出し受理された。9月上旬の就任からわずか1カ月で、5日に組閣を発表したばかりだった。議会で優勢な野党の不満を抑えきれなかった。2026年度予算成立の見通しが立たず、首相の任命責任を負うマクロン氏は窮地に陥っている。
仏議会は中道の与党連合と野党の左派、極右の三つどもえで、野党の意向次第で内閣不信任決議が成立する。そのため内閣が短命化しており、2017年のマクロン政権始動から7人目の首相であるルコルニュ氏も内閣を維持できなかった。
ルコルニュ氏の辞任の引き金を直接引いたのは、与党と協力関係にあった右派の野党・共和党の不満だ。与党色が強すぎる閣僚人事を了承できないとして新内閣に不参加を表明した。
野党の仏極右の国民連合(RN)なども改めて内閣不信任決議の方針を示し、ルコルニュ氏を追い込んだ。首相として予算など内政に責任を持つルコルニュ氏は議会運営の見通しが立たないと判断したとみられる。
ルコルニュ氏は就任から1カ月たった5日にようやく内閣の顔ぶれを発表したところだった。与党に所属する元産業・エネルギー担当大臣のレスキュール氏を経済・財務相に任命したほかは主要閣僚を続投させ、財政再建を目指したバイル前内閣の基本路線を継承する方針だった。
仏議会の通常会期は10月1日にすでに始まっており、13日には政府による予算案の議会提出期限が迫る。予算案提出が間に合わないと憲法が規定する70日の審議期間を守れず、年内に成立できなくなる。
25年度予算も年内に成立せず、特別法を成立させてしのいだ。だが特別法下では新たな予算措置などはとれず、内政の停滞は避けられない。
政局混乱を受け、6日の仏金融市場では株売り、国債売りが加速している。予算案など議会での法案審議が遅れれば必要な政策を打ち出せず、国内景気を冷やしかねない。財政再建が遅れるとの懸念も金利を押し上げる(債券価格を押し下げる)要因となる。
マクロン氏は早急に野党との協力体制の道筋をつける必要性に迫られる。世論調査ではRNへの支持が高まっており、与党連合は選挙でさらに議席を減らす結果になりかねない。
【関連記事】
- ・ルコルニュ仏内閣がようやく始動 主要閣僚続投、財政再建路線を継承
- ・仏全土で反政府デモ、道路を封鎖 ルコルニュ新首相にも反感
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。