
【シドニー=共同】オーストラリアのアルバニージー首相とパプアニューギニアのマラペ首相は6日、相互防衛条約に署名した。第三国から攻撃を受けた場合の共同防衛が柱。両国関係を「同盟」に引き上げる。オーストラリアは海洋進出を加速させる中国を念頭に、太平洋島しょ国との安全保障分野での結び付きを強める。
議会手続きを経て発効する運び。締結されればオーストラリアでは米国とニュージーランドに続き70年以上ぶりに新たな同盟国が誕生することになる。太平洋地域での影響力拡大を狙う中国は、パプアとの安保協力に意欲を見せていた。
キャンベラでの共同記者会見でアルバニージー氏は「同盟関係は安全で安定した地域への共通の決意を示すものだ」と強調。マラペ氏はオーストラリアを戦略的に「安保上のパートナー」に選んだと訴え、中国側に伝達したと明らかにした。一方で「敵をつくるのではなく、友好関係を強化するものだ」と主張。経済協力を維持する中国に一定の配慮を示した。
新条約は「オーストラリアまたはパプアへの武力攻撃は、両国の平和と安全、太平洋地域の安全を脅かす事態だと認識し、共通の危機に対処するため行動する」と規定。定期的に共同軍事演習や訓練を行うことを盛り込んだ。条約履行を損なうような第三国との活動や協定締結を阻む内容。パプアは最大1万人の兵士をオーストラリア軍に派遣する。
中国は、南太平洋のソロモン諸島と安保協定を結ぶなど島しょ国への関与を強めている。
オーストラリアとパプアは当初9月に署名予定だったが、パプア側の手続きが整わず延期となった。
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