6日にノーベル生理学・医学賞の受賞が決まった大阪大学特任教授の坂口志文さん。
後ほど生中継で話を聞いていきます。

がんやアレルギー治療への応用が期待される「制御性T細胞」について、東京歯科大学市川総合病院の寺嶋毅さんとお伝えします。

東京歯科大学市川総合病院・寺嶋毅教授:
私、日本人としてものすごい快挙だと思いますし、臨床に近いというか日々、取り扱っている病気に近いということもすごくうれしく思っています。

宮司愛海キャスター:
まずは「制御性T細胞」について見ていきたいと思います。簡単な説明にはなってしまいますが、坂口さんが今回発見された「制御性T細胞」は、血液のリンパ球に含まれるT細胞の一種で、細胞の暴走や悪さにブレーキをかける役割をしている。例えば、体の中にウイルスが入った時に免疫機能としてT細胞がウイルスを攻撃するんですが、時にT細胞が暴走して正常な細胞のことも誤って異物と間違えて攻撃をしてしまう、自分の体を傷つけてしまうことがあるということです。これに待ったをかけるのが、「制御性T細胞」の役割だということです。実際にノーベル財団も、免疫が暴走せず適切に働く仕組みを解き明かした点を高く評価しているということです。
これがどうつながるか、坂口さんによりますと、この細胞の働きを強めることでアレルギーなどの免疫の過剰反応を抑えたり、逆に弱めることでがん治療、そしてウイルスの排除などにつながるということです。

青井実キャスター:
いろんな可能性を秘めているということなんですね。

東京歯科大学市川総合病院・寺嶋毅教授:
そうですね。先ほどはアレルギー、行きすぎを抑えているという、いい意味というか冷静に抑えているということですが、時には、がんの場合にはがん細胞が「制御性T細胞」を自分のところに呼び寄せて、それが周りを固めて、むしろがん細胞を攻撃すべき免疫細胞を近づけないようにしたり、それを弱らせる。ある意味、時として体にとっては不利益ということもあるんです。

宮司愛海キャスター:
バランスをとる役割を担っている。

東京歯科大学市川総合病院・寺嶋毅教授:
まさにそうです。

青井実キャスター:
そんな中、ノーベル生理学・医学賞の受賞が決まりました大阪大学の坂口志文特任教授に来ていただきました。受賞されていろいろ連絡も来られて寝不足だということですが、改めて今どんなお気持ちでしょうか。

大阪大学・坂口志文特任教授:
昨日(6日)から、いろんな方からお祝いのメールとかたくさんいただきまして、だんだん実感が湧いてきたところです。大変、光栄に思っております。

宮司愛海キャスター:
本当におめでとうございます。そして、本日は妻の教子さんとともに7日午後1時から記者会見にも臨まれたということです。妻の教子さんは皮膚科医でいらっしゃって、20代のころに出会われて結婚後にともに渡米をされた。そして、坂口さんとともにアメリカの研究所を渡り歩いて、今回の研究も実験のサポートなどされていたということです。会見の模様を少しお聞きいただきます。

坂口志文特任教授の妻・教子さん(会見映像):
もともと皮膚科の医者をやっていて、そこから(研究を)やり出したんですけど、創造的でワクワクするんですよ、研究って。
(Q.坂口さんについて)
「何を考えてるか」が言葉なくて、だんだん分かるようになって。
(Q.2人が信じて突き進めた原動力は)
楽天的なことですよ。めちゃめちゃ明るく楽天的。

宮司愛海キャスター:
このお言葉をうかがうだけでもどんなにすてきな夫婦関係を築かれているんだろうと思うんですが、坂口さん、この言葉を聞いて改めてお二人の関係性ってどう感じていらっしゃいますか?

大阪大学・坂口志文特任教授:
職場でも家庭でも一緒におりますものですから、大体同じことを経験しているということで、あまり口に出して言わなくても大体状況が分かっておりまして、お互いに知恵を出し合って、いろんなことを解決してきたということになるかと思います。

青井実キャスター:
坂口さん、研究にとって“明るさ”は必要なものでしょうか?

大阪大学・坂口志文特任教授:
楽天的であるということは重要だと思います。その時には非常に悲観的に思えることもありますけど、少し長い時間のスパンで考えますと、そこまで悲観することでもなくて、やはり淡々と前に進むことによって、気づいたら解決できておると、そういうことが多かったように思います。

青井実キャスター:
その明るさを支えてくださった妻の教子さんですが、報告された時どんな言葉をかけてくださったんですか?

大阪大学・坂口志文特任教授:
ちょうど受賞の電話をいただいた時には同じ部屋におりましたもんですから、向こうとのやり取りの中で受賞したんだなということが彼女も分かったように思います。ですから特別何か言葉を交わしたわけじゃないんですが、お互いにうれしく思いました。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。