退任が決まっているルコルニュ仏首相は48時間以内に後任が指名されるとの見方を示した(10月8日、パリ)=ロイター

【パリ=北松円香】フランスのルコルニュ首相は8日、仏テレビ番組に出演し、マクロン仏大統領が「48時間以内に首相を指名できる状況にある」と述べた。ルコルニュ氏は6日に辞表提出後、後任が決まるまで職務を続けている。与野党との協議の結果、懸念されていた国民議会(下院)の解散は「遠のいた」との見方を示した。

フランスでは予算や人事案をめぐり大統領と議会が対立し、政権運営が混迷している。ルコルニュ首相の6日の辞任を受けて、マクロン氏が議会の解散に踏み切るとの見方も浮上していた。ルコルニュ氏はテレビ出演を通じて新首相への速やかな交代を強調し、事態の沈静化を図った。

ルコルニュ氏は与野党との協議で、各党が年内の2026年度予算成立を望んでいると確認できたと説明した。議会への予算案提出期限である13日には、閣議で予算案を決定できるとの見通しも示した。

仏大統領府も8日、マクロン氏がルコルニュ氏から「大半の議員が解散に反対している。年末までに予算を成立する道はある」との報告を受けたと述べた。同氏の発言を追認する形で「48時間以内に首相を指名する」と説明した。

次期内閣が安定的な議会運営をするには野党の協力が必要で、マクロン氏はルコルニュ氏に対し、8日夜まで各政党と協議するように求めていた。ルコルニュ氏はマクロン氏に協議結果を報告した後、番組に出演して現在の状況を説明した。

仏下院は与党の中道連合と左派、極右が三つどもえで予算案などの法案審議が困難になっている。財政再建や年金改革をめぐり議会との対立が深まっていることで、内閣が機能不全に陥り、首相の辞任が続いている。

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