台湾の頼清徳(ライチントー)総統は10日、建国記念日にあたる「双十節」の式典で演説し、中台統一を掲げて軍事的圧力を強める中国に対し、「武力や威圧による台湾海峡の現状変更を断念し、私たちとともにインド太平洋地域の平和と安定を守ることを期待する」と訴えた。新たな防空システム「台湾の盾(Tドーム)」の構築など、防衛力の強化策も打ち出した。

 双十節は中華民国(台湾)誕生につながった辛亥革命を記念した日。演説で頼氏は直接的な対中批判は控えつつ、中国の軍事的脅威に対する備えを着実に進めていく姿勢を示した。

 頼氏は今年、第2次世界大戦の終結から80年を迎えたことに触れた上で、中国などを念頭に「現在も権威主義は拡大を続け、国際秩序は深刻な挑戦に直面している」と語った。その上で、「侵略は必ず失敗する」ことが大戦の教訓だと訴えた。

 さらに「平和は実力によって実現されるべきだ」として、2030年までに防衛費を域内総生産(GDP)比で5%に引き上げるという目標を改めて明言。「多層防御、高度な警戒態勢、効果的な迎撃能力を備えた厳密な防空システム」とする台湾の盾や、人工知能(AI)技術を導入した防衛・作戦システムの構築などを進めると表明した。

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