トランプ米政権による米国際開発局(USAID)の解体をめぐり、NPOピースウィンズ・アメリカと米日財団が10日、援助の現場への影響や日本への提言を盛り込んだ報告書を発表した。日本に対し、ODA(政府の途上国援助)を削減するのではなく維持や増額し、開発分野におけるリーダーシップを発揮するよう求めた。

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 報告書は、ピースウィンズ・アメリカのジェームス・ギャノン代表と、USAIDでアジア担当の長官補を務めたマイケル・シファー氏が執筆した。

 報告書は、米国の援助を受けていたNGOのスタッフ23万人以上が解雇を余儀なくされたほか、日本の国際協力機構(JICA)などの援助においても、協力団体の職員がいなくなるなどの影響があったと指摘した。中国が戦略的に重要な国々で、米国の空白を埋めつつあるとの警戒感も示した。

 「日本が単独で米国が抜けた空白を埋めることはできない」としながらも、開発分野における日本への期待が高まっていると指摘。日本の対外援助をめぐっては「米国の先例にならって、削減するよう圧力がかかるかもしれないが、それは間違いだ」とした。日本の対外援助が日本の国際的地位や影響力などを支えてきたとして、もしも後退させれば、「人道的成果だけでなく、国家の中核的利益をも損なうことになる」と警鐘を鳴らした。

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