パレスチナ自治区ガザでのイスラエルとイスラム組織ハマスの停戦を受け、ガザへの支援物資の搬入が本格化する見通しだ。AP通信は12日、イスラエル当局の情報として、1日あたりの物資の搬入規模が、国連などが求める規模に拡大すると報じた。深刻な人道状況が改善するかが焦点となる。
APによると、ガザの検問所を管理するイスラエル国防省傘下の「占領地政府活動調整官組織(COGAT)」は、1日あたりの物資の搬入量が12日にもトラック600台分に増加するとした。1~3月の停戦中と同じ規模で、200万人以上の住民に行き渡るのに必要な水準とされる。国連のフレッチャー事務次長(人道問題担当)は、国連は今後2カ月間で、物資の搬入をはじめ、医療など公共サービスの回復やがれきの撤去に取り組む計画だと話したという。
一方、イスラエルメディアのエルサレム・ポストは12日、イスラエルと米国が支援する「ガザ人道財団」(GHF)が停戦を受け、活動を一時的に停止したと報じた。GHFは「人質のイスラエルへの移送に伴って戦術的変更を行うが、長期的な計画に変更はない」として、今後も配給活動を続ける意向を示したというが、APがガザの住民の話として報じたところによると、南部ラファなどにあるGHFの食料配給拠点のうち3カ所は人員が撤退するなど放棄された状態だ。今後は他の機関が物資の供給を担う方向だという。
GHFはイスラエルが3月に物資の搬入を停止した後、5月に運営を開始。それまでの国連機関などの約400カ所での配給に代わり、4カ所で配給を開始した。配給所の周辺では物資を求めて集まった人々がイスラエル軍などに攻撃される事例が相次ぎ、ガザ保健省によると10日までに2600人以上が死亡。国際社会から批判の声が上がっていた。
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