
【ソウル=小林恵理香】韓国軍制服組トップの陳永承(チン・ヨンスン)合同参謀本部議長は14日の国会国防委員会の国政監査で、北朝鮮の新型大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星20」についてロシアが技術供与した可能性があるとの見解を示した。
「火星20」は10日、北朝鮮が朝鮮労働党創建80年記念の軍事パレードで初めて公開した。北朝鮮の朝鮮中央通信は火星20を「最強の核戦略兵器だ」と説明していた。パレードにより「北朝鮮の国防技術の潜在力と驚異的な発展速度を誇示した」とも伝えた。
北朝鮮とロシアは連携を強めている。両国は2024年に「包括的戦略パートナーシップ」を結び、事実上の同盟関係となった。北朝鮮はウクライナ侵略を続けるロシアに兵士を派遣し、その見返りとして軍事技術を得ているとされる。
北朝鮮は24年10月に米国の本土全域を射程に収めるとされるICBM「火星19」の発射実験をした。新型にもかかわらずエンジン実験をした形跡がみられなかったことなどから、ロシアによる技術支援があった可能性が指摘されていた。
北朝鮮のICBM開発はロシアの支援で急速に進んでいる。
「火星15」の発射実験が17年11月で、その次に発表した「火星17」は22年2月に発射しており、4年以上の間が空いた。23年に発射した「火星18」以降は、24、25年と続けて新型を公開している。
火星19は従来型と異なり弾頭部が丸みを帯びた形状が特徴的で、ロシアが開発した最大級のICBM「サルマト」の弾頭部に相似しているとされていた。
北朝鮮は複数の弾頭を積む「多弾頭」のミサイル開発を目指していると推測されている。多弾頭ミサイルは複数の弾頭が分離して落ちるため、相手の迎撃を困難にする。弾頭が増える分、エンジンを軽くする必要があり、米国やロシアなど少数の軍事大国が保有する技術だ。
北朝鮮は9月、火星20への搭載を想定した固体燃料式エンジンの地上噴射試験を実施した。エンジンに軽量で強度や耐熱性が高い炭素繊維の複合材料を用いたことで、多弾頭化を視野に入れているとの見方が出ていた。
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