【NQNニューヨーク=戸部実華】15日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3営業日ぶりに反落し、前日比17ドル15セント(0.03%)安の4万6253ドル31セントで終えた。米中貿易摩擦への懸念が根強く、ダウ平均の重荷となった。半面、同日に四半期決算を発表した金融が買われたことは相場を支えた。

米連邦準備理事会(FRB)のミラン理事は15日、「米中の緊張が再燃したのは深刻な問題だ」として「1週間前よりも(経済の)下振れリスクがある」との考えを示したと伝わった。前日にはトランプ米大統領が中国政府が米国産の大豆を「意図的に買っていない」などと非難し、米中関係を巡る懸念は株式の売りにつながった。

米政府機関の一部閉鎖は15日も続いた。米行政管理予算局(OMB)のボート局長は政府閉鎖の間に1万人を超える職員を削減する可能性があるとの考えを示したと伝わった。市場では「閉鎖が長引くほど、消費者心理への影響が出かねない」(Bライリーのアート・ホーガン氏)との見方もあり、相場の重荷となった。

ダウ平均は高く始まり、上げ幅は400ドルを超える場面があった。パウエルFRB議長が前日に米政府機関の一部が閉鎖するなかで入手可能な経済データに基づくと、利下げを決めた9月から雇用とインフレの見通しは大きく変化していないと語った。市場では10月の追加利下げ観測も改めて意識され、15日も株買いを支えた。

ダウ平均の構成銘柄ではないが、モルガン・スタンレーとバンク・オブ・アメリカが買われた。それぞれ15日発表の2025年7〜9月期決算で事業会社の売上高に相当する純営業収益と1株利益が市場予想を上回った。ダウ平均の構成銘柄では、JPモルガン・チェースが上昇した。

ニューヨーク連銀が15日発表した10月の製造業景況指数はプラス10.7と、ダウ・ジョーンズ通信がまとめた市場予想(マイナス1.8)を上回った。「大手銀行の好決算とあわせて、米景気の底堅さを映す」(ボケ・キャピタル・パートナーズのキム・フォレスト氏)として、投資家心理を支えた。

個別銘柄ではハネウェル・インターナショナルやトラベラーズ、セールスフォースが売られた。一方、ウォルマートやIBM、シスコシステムズは上昇した。

ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は反発した。前日比148.379ポイント(0.65%)高の2万2670.080(速報値)で終えた。

オランダの半導体製造装置ASMLホールディングが15日、26年12月期通期の売上高見通しは「25年を下回らない」との見方を示した。KLAやラムリサーチなど関連株が買われた。アドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)は9%高だった。

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