今、関心の高い話題を詳しく解説する急上昇ニュースのコーナーです。大きなにぎわいを見せ10月13日に閉幕した大阪・関西万博。関西と隣接する岡山にも影響を与えています。森岡記者の解説です。
(森岡紗衣記者)
2025年4月13日から10月13日までの184日、半年にわたって大阪の「夢洲」で開かれた大阪・関西万博。全体の来場者は約2557万8986人となり、予想していた2820万人には届きませんでしたが、2005年の愛知万博の約2205万人を上回りました。これは大盛況だったと言っても過言ではありません。
(萩原渉キャスター)
「そうですね。行けなかったことが本当に悔やまれますね。涼しくなったら行こうと最初の段階で思っていたんですが、まさか終盤になってこれほど駆け込みがあるとは」
(森下花音キャスター)
「本当ですね。SNSなどでも本当に盛り上がっていたので、大盛況で本当良かったなと思いますね」
この半年間、国の内外から多くの人が訪れたということで気になるのが私たちの地域への影響ですよね。取材しました。
大阪湾に浮かぶ夢洲を舞台に、半年にわたって開かれた大阪・関西万博。期間中には岡山・香川からもブースを出展し、国の内外に地域の魅力を発信しました。
岡山県の伊原木隆太知事も手応えを語りました。
(岡山県 伊原木隆太知事)
「ものすごい盛り上がりで2日目は2万5850人とこれまでのあの会場の記録を作った」
来場者約2557万人を記録した今回の万博ですが、関西以外の地域への波及効果について分析が行われました。
(日本政策投資銀行岡山事務所 長澤健一所長)
「万博に来た外国人のうち2.9%が岡山市にも来たという結果が出た。一見すると少なく感じるかもしれないが、約10万人の人が万博から岡山に来ている。大きなインパクトになったのではないか」
日本政策投資銀行の調査によると、万博の始まった2025年4月から5月にかけて岡山県内の観光地を訪れた外国人の数はエリア別に見ても軒並み増加。さらに、万博を訪問した外国人のうち、岡山市を訪れた人はアジアで1.7%、欧米やオーストラリアで4.4%となりました。
これまでアジアからの来訪が多い岡山でしたが、今回の調査で欧米などが逆転したことが分かり、新たな客層の開拓に成功しています。
9月、人気の観光地、岡山市の岡山後楽園にも多くの外国人観光客が訪れていました。
(オーストラリアから)
「(大阪へ行く)ツアーの一環で来た。後楽園がとても美しい」
(イスラエルから)
「私たちは日本が大好きだけどこの地域にはまだ来たことがなかった」
「芸術や島に興味がある」
「食べ物や人々、後楽園まで全てが美しい」
ここ最近の外国人観光客の動きは岡山にとってチャンスだと言います。
(日本政策投資銀行岡山事務所 長澤健一所長)
「インバウンドが増えてきて東京や大阪はみんな行ったことがある。次はどこにするかを探している段階。オーバーツーリズムで手あかのついたような観光地よりは、自分たちだけで見つけて落ち着いて過ごせるような日本的な場所を探している面もあるので岡山はポテンシャルが高い」
その一方で、課題も見えてきました。
(日本政策投資銀行岡山事務所 長澤健一所長)
「今回は一定の効果はあったがマスの(大きな)動きになっていない。岡山のことをもう少し知ってもらう努力が必要」
こちらは万博から広島市の平和記念公園を訪れた外国人の数。全体の10%以上が訪れています。世界で初めて核兵器が使われた都市として知名度が高いことが要因になったとみられます。
対する岡山市は全体の3%未満。人気の観光地、倉敷市の倉敷美観地区も1.6%でした。今後さらにプラスの効果を上げるため、万博で増加した欧米やオーストラリアからの観光客に地域の「ストーリー」をアピールすることがカギになると話します。
(日本政策投資銀行岡山事務所 長澤健一所長)
「欧米豪の人はテーマ性をもって周遊している人が多い。例えば後楽園であれば庭園つながりで(石川県)金沢市の兼六園など共通点を持つ観光地同士が連携して魅力をアピールすることでさらに来てくれる人が増えるのでは」
(萩原渉キャスター)
「なるほど。今回の万博が大勢の人、特にその新たな分野、欧米の人に知っていただく、岡山のことを知っていただくいいきっかけになったことは確かにそうなんですが、さらにもっとより多くの方に訪れていただくための工夫、情報発信がまだまだ必要のようですね」
(森下花音キャスター)
「そうですね。広島に比べるとやはり少ない人数でしたけれども、ただ来てくれたっていうのは、素直にうれしいですよね」
(森岡紗衣記者)
岡山でも一定の万博効果がみられたということですが、今回取材した日本政策投資銀行の長澤健一さんによると、「岡山にはまだ各地に隠れた魅力がある。官民連携で地域の魅力をPRしていくことが大事」だと話していました。
例えば、日本刀の産地、瀬戸内市や自然が生み出したアート新見市の井倉洞など、外国人に共感してもらえる魅力は各地にたくさんありますよね。
(萩原渉キャスター)
「そうですよね。例えば瀬戸内海の多島美ですとか、おいしいフルーツ。地元岡山に住んでると極めて当たり前のことなんですけども、そういった灯台下暗しという言葉がありますが、われわれが当たり前だと感じている魅力を、地元の人たちがもっと知った上で、さらにこの魅力を上手に効率的に発信していく工夫っていうのが必要なのかなと」
(森下花音キャスター)
「そうですね。王道なスポットだけではなくて、神社とか温泉とかもありますので」
現在、開催中の瀬戸内国際芸術祭にも多くの外国人が来ていることからも、香川と連携して「瀬戸内」をPRする必要もあります。今回の万博の効果を途切れさせず、リピーターを獲得するため知恵を絞っていく必要がありそうです。
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