ブラックストーンの運用資産総額は過去最高を更新した=ロイター

【ニューヨーク=竹内弘文】米大手投資会社ブラックストーンが23日発表した2025年7〜9月期決算は、資金流入額が541億ドル(約8兆2600億円)となり、2四半期ぶりに増加した。自動車関連企業の相次ぐ破綻で生じた信用不安は銀行融資が中心で、プライベートクレジット(ノンバンク融資)への影響は限定的との見方を示した。

純利益は自己勘定投資の未実現利益の変動などにより、前年同期比20%減の6億2400万ドルだった。

投資家に還元できる利益水準を示す指標「分配可能利益」は48%増の18億8900万ドルとなった。金融環境の好転で投資回収が進み、ファンドの実現益は305億9800万ドルと35%増えた。

資金流入額の3分の2を、プライベートクレジットを中心とするクレジット分野が占めた。保険会社からのマネー流入が続いている。プライベートエクイティ(未上場株)や不動産は流入ペースが鈍った。運用資産総額は6月末に比べて3%増え、1兆2417億ドルと過去最高を更新した。

米金融業界で広がる信用不安について、ジョン・グレイ社長兼最高執行責任者(COO)は決算説明会で「今回の出来事は銀行が主導して組成した協調融資が原因だ。少なくとも一部には不正があったとする報道もあり、特殊なケースだ」と指摘した。

プライベートクレジット市場では「直接的な影響は限定的だ」と述べた。ブラックストーンの融資先のうち損失が生じた事例は「ほぼ皆無」としている。

米国ではテキサス州拠点の自動車関連会社2社が9月に相次ぎ経営破綻し、10月には米地銀のファンド向け融資焦げ付きも表面化したことで波紋が広がった。ブラックストーンのようなプラベートクレジット大手に対しても「融資の質」を懸念する声が上がっていた。

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