
【ニューヨーク=吉田圭織】27日の米株式相場は3日続伸し、ダウ工業株30種平均は前週末比337ドル高の4万7544ドルで取引を終えた。連日で最高値を更新した。多くの機関投資家が運用指標にするS&P500種株価指数やハイテク株比率が多いナスダック総合株価指数も最高値を付けた。米中対立が緩和に向かうとの期待が広がった。
米中の貿易摩擦をめぐる懸念が後退し、投資家の間ではリスクオンの姿勢が強まっている。株高の一方で、安全資産である金(ゴールド)は軟調な展開が続く。価格の国際指標となるニューヨーク先物の中心限月12月物は27日、約2週間ぶりに4000ドル台を下回る場面もあった。
ダウ平均の構成銘柄ではエヌビディアやマイクロソフト、アップルなどのテック株に買いが入った。S&P500種の業種別では、上昇率首位はIT(情報技術)だった。通信サービスや電力、ガスなどの公共事業が続いた。
ベッセント米財務長官は26日、米メディアとのインタビューで週内に予定している米中首脳会談に向けて「(合意の)枠組みができた」と表明した。中国側がレアアース(希土類)の輸出規制を1年延期するかわりに、米国が100%の対中関税発動を見送る方針も示した。
これを受け、市場では米中対立が柔らぐとの期待が急速に広がった。
前週末発表の9月の米消費者物価指数(CPI)の上昇率が市場予想を下回り、インフレ懸念がやや薄らいだことも相場を下支えした。米連邦準備理事会(FRB)が28〜29日に開く米連邦公開市場委員会(FOMC)で利下げを決めるとの期待も高まっている。米金利先物の値動きから市場が織り込む政策金利を予想する「フェドウオッチ」によると、FRBが29日に0.25%の利下げを実施する確率は97.8%にまで高まっている。
さらに好調な企業決算が相次いでいることも株式相場の追い風になっている。
米ファクトセットによれば、24日時点でS&P500種株価指数の企業うち約3割が四半期決算を発表しているが、そのうち87%の企業の1株当たり利益(EPS)が市場予想を上回った。ファクトセットのジョン・バターズ氏は「市場は予想を上回る好業績に対して平均以上の好反応を見せている」と指摘した。
ファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)改善を映し、市場では一段の株高を期待する声も出始めている。
UBSグローバル・ウェルス・マネジメントのウルリケ・ホフマン・ブルハルディ氏は「今後数カ月は株価上昇が続くだろう。26年6月までにS&P500は(現在の6875から)7300に達する」と予想している。今週は巨大テック7銘柄、通称「マグニフィセント・セブン(M7)」のうち、マイクロソフトやアップルなど5社が決算を発表する予定で、株高持続を占う試金石となりそうだ。
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